妻がもらえる「遺族年金」の条件、知ってますか 女性の7割が90歳、2割が100歳まで生きる現実
年金は「公的保険」です。自分だけでは準備し切れないことを、社会全体で支え合い、備えていく制度です。たとえ何歳まで生きようが、亡くなるまで「老齢基礎年金」や「老齢厚生年金」を受け取れます。また、ケガや病気になって一定の障害状態になったときには、「障害基礎年金」「障害厚生年金」が、働き手が死亡した場合には、残された家族は、「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」を受け取ることができます。
「へぇ。公的年金って、人生のリスクを丸ごとカバーしているわけですね。僕、結婚したとき、妻を受取人にして死亡保険に入ったんです。その後、子どもが生まれたので、もう1つ入ろうかと思っていたんですけど、入らなくてもいいってことですか?」(高木君)
民間の死亡保障保険が不要ということではありません 。貯蓄は一気に増やせませんから、子どもが社会人になるまでは、もしものために生命保険に入ることは必要です。公的保障で不足する分を民間の保険でカバーします。
ただし、保険に入りすぎて貯蓄ができないというのは、本末転倒です。なるべく安い保険料で、必要な保障額を、必要な期間持つことが大切です。高木君にはいくら死亡保障が必要なのかを考えてみましょう。
まず、遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があります。
遺族基礎年金は「年77万円強+子の加算」
「遺族基礎年金」は、亡くなった人から生計を維持されていた「子のいる配偶者」、または「子」が受給できます。子というのは、18歳の年度末まで、つまり高校卒業までを想定しています。障害等級1級2級に該当する20歳未満の子も含まれます。婚姻をしていないことも条件。生計を維持されていたといえる遺族の収入は年850万円未満です。
金額は一律で「年77万7800円+子の加算」です。1人目と2人目はそれぞれ年22万3800円、3人目以降は年7万4600円が加算されます(2022年度)。
高木君の場合は、妻と子ども1人なので、遺族基礎年金は年100万1600円となり、子どもが高校を卒業するまで受け取れます。
また「遺族厚生年金」は、亡くなった人が会社員や公務員だった場合、遺族基礎年金と合わせて受給できます。遺族厚生年金の金額は、死亡時までの平均年収と加入期間で変わります。基本的に、亡くなった人の老齢厚生年金の4分の3ですが、厚生年金の被保険者期間が300カ月(25年間)未満なら300カ月とみなして計算します。
では、高木君がいくら受け取れるのか、計算してみましょう。毎年、誕生月に届く、「ねんきん定期便」から計算できます。
圧着式のハガキを開くと、50歳未満の「ねんきん定期便」には、1.これまでの保険料納付額(累計額)、2.これまでの年金加入期間、3.これまでの加入実績に応じた老齢厚生年金額、が記されています。50歳以上は、今後も同じ働き方を60歳まで続けた場合、65歳以降の受給額が示されています。
遺族厚生年金は、(これまでの加入実績に応じた老齢厚生年金額)× (300カ月/加入月数)×3/4 、で計算できます。加入月数は、ねんきん定期便にある、2.これまでの年金加入期間にある、(b)厚生年金保険計の月数、です。
高木君の場合、この式にあてはめて計算すると、遺族厚生年金は年37万7941円ですので、遺族基礎年金の年100万1600円と合わせると、年137万9541円を受給できます。月約11万5000円です。
また、夫婦とも会社員などで厚生年金に入っていると、夫と妻とでは受給する年齢要件等が違うので注意が必要です。
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