
塩野:私自身、マネジメント側にいて思うのは、企業の寛容性の問題がすごくあるということです。男女問わず、1年や2年くらい育休をとるのは個人の自由だと思いますし、企業も寛容になるべきでしょう。また、女性のほうが長生きすることを思えば、実は数年抜けても、最終的には同じくらいの勤務期間になるのではないかと思います。
田中:そうね。理論的にはそうなんだけど、やっぱり働き続けることがとても大切だと、私は自分の育休を通して実感として思っていますね。
塩野:時短でも続けるということですか?
田中:そう、時短でも。一概には言えませんけど、「子育て・主婦モード」という脳の使い方があると思うんですよ。ある先生がおっしゃっていたんですけど、まだ言葉を発しない子供は動物に近い状態ですよね。その言葉を発しない大切な生き物と会話をする能力が、母親には備わっている。そのときすごく働くのが右脳。匂いとか感触とか泣き声とかで赤ちゃんの状態がわかる。でも右脳ばかり使ってあまり左脳を使わない状態が続いてしまうと、仕事に復帰したときどうなるか。みんな、「言葉が出ない」って言うんですよ。私もそうでした。会議についていけないし、発言を始めても途中で自分が何を言いたかったか忘れちゃう。これはもともと理系だった人とか、バリキャリだった人のほうが多い。自分が期待している仕事への参加度合いと、現実とのギャップが激しいんでしょうね。
だから私は、続けたいなら時短でもいいし、在宅でもいいから、ゆるゆると続けたほうがいいと思う。ただそれは子供と離れていく心の準備だとか、子供の状態とも大きくかかわってくるので、それを見極めながら、どこかのタイミングでフルスロットルに入れるのがいいんじゃないの、って話をしています。
塩野:なるほど。この続きは後編でお聞きしたいと思います。
(構成:長山清子、撮影:尾形文繁)
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