B評価:Suspension(一時停止)330社
C評価:Scaling Back(規模縮小)93社
D評価:Buying Time(時間稼ぎ)128社
F評価=落第点:Digging in(そのまんま)214社
つまりこのリストは、「オタクはいつまでロシアビジネスをやっているんですか?」と企業に対して圧力をかけているわけだ。
といっても、各社にはいろいろな事情がある。大勢の雇用を抱えているところもあれば、医薬品や航空機のように、顧客の命にかかわる産業もある。表向きは「撤退する」と言いながら、実は操業は継続しているケースもある。あるいは「バーガーキング」や「丸亀製麺」のように、本社は撤退を決めたのにフランチャイズが屋号を変えるなどして独自に営業している、なんていうケースもある。
ゾンネンフェルド教授のところへは、「やめてくれ」「脅すのか?」といった批判が殺到しているらしい。ところがご本人は、「企業がロシアをボイコットしないのなら、そんな企業をボイコットしたらいい」と平然としている。企業としては「レピュテーションリスク」が怖いし、ESG投資家にそっぽを向かれるのも困る。ましてや、「アノニマス」によるサイバー攻撃のターゲットになったりしては目も当てられない。
中国企業は継続、ロシアには「かえって好都合」?
ただしこのリストを子細に見ていくと、F評価の214社中、中国企業が43社と約2割を占めていることに気がつく。しかもアリババやチャイナモバイル、中国石油天然気集団、ファーウェイ、テンセント、シャオミ、ヴィーボ、ZTEなどとそうそうたる企業が名を連ねている。彼らは「カエルの面に何とやら」で、こんなリストは意に介さないだろう。
西側企業が相次いでロシアから撤退しても、中国企業がビジネスを続けるのであれば制裁の影響は限定的、いやかえってロシアに「好都合」になってしまうのではないか。
気を付けなければならないのは、いわゆる「BRICS」5カ国の結束は固いということだ。西側のマスコミはほとんど伝えないけれども、BRICS首脳会議は毎年ちゃんと行われていて、今年は9月に中国が議長国となって実施される予定である。
国連などにおける投票行動においても、ブラジル、中国、インド、南アの 4カ国はウクライナ問題でのロシア非難決議には慎重姿勢である。さらに言えば、BRICSの5カ国は G20メンバーであり、これでは G20からロシアを追放することも困難である。そしてアルゼンチン、トルコ、メキシコ、サウジアラビアあたりのG20メンバーも、心情的にはG7よりはBRICS寄りなのである。かろうじて豪州と韓国はG7側についてくれるとして、議長国のインドネシアは、先進国と新興国の板挟みでさぞかし困っていることだろう。
「アジアで唯一のG7メンバー」ということで、日本はこのステータスを大事にしてきた。ところがG7が「脱・ロシア」の笛を吹いても、意外とアジアや中東、アフリカの国々はついてきてくれない。ウクライナ情勢が長期化するにつれて、ロシアは思ったほど嫌われておらず、逆にG7には「徳」がなかった、てなことに気づかされる昨今である(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承下さい)。
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