国民に「愛される」岸田首相が市場に嫌われるワケ 本気で賃金を上げたいのなら何が必要なのか?

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筆者がのけぞるくらい支持率が上がった岸田内閣。だが賃金が上がると本気で考えている人は少ない(写真:Motoo Naka/アフロ)

最近の世論調査を見て思わずのけぞった。NHKのデータによれば、岸田内閣を「支持する」と答えた人は昨年12月から7ポイント上がって57%となった 。逆に「支持しない」と答えた人は20%にすぎない(同6%減)。内閣が発足して3カ月、「尻上がりにどんどん数字が良くなる」、という現象は歴代政権でも珍しい。

内閣支持率だけでなく、自民党支持率まで上昇の驚き

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それだけではない。自民党の支持率も上がっている。やはり昨年12月から6.2ポイント上昇して41.1%となった。むしろ野党の支持率が、軒並み低下していることが目を引く。

特に立憲民主党は前月比3.3%減で5.4%となり、日本維新の会5.8%の後塵を拝する始末。これではまるで、「自民党がちゃんと不人気な総理を挿げ替えることができるのなら、日本政治に野党なんて要らないじゃん!」と民意が告げているようではないか。

いや、それは「55年体制」の頃の話であって、やっぱり野党は与党のあら探しをするだけでなく、ちゃんと政権担当能力を持つように努力してもらいたい。特に立民の皆さんはせめて2ケタの支持率がないと、「政権交代可能な2大政党制」への道は遠いと言わざるをえませんぞ。

かくして昨今は「青木レシオ」(政権支持率+与党第一党の支持率)が100に迫るという椿事が起きている。半年前の当欄では、青木レシオが50を割りかけていることを理由に、「8月13日以降『菅下ろし』が始まるかもしれない」と寄稿したものだ 。

菅義偉内閣も、2020年9月の発足当初は高い支持率を誇っていた。その後は右肩下がりが続き、昨年8月下旬には本当に「菅下ろし」が始まって、とうとう退陣に追い込まれてしまった。コロナ下で政権を維持することは、どこの国でも至難の業なのである。

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