関関同立の大学生が「壊れるまで」バイトする事情 母も祖母も高卒で「大学に行く」感覚がなかった

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「子どもの頃から母と祖母は、私の大学進学に乗り気じゃなかった。大学に行くなら自分で勝手に頑張って、と言われ続けて育ちました。お金がかかるし、行ってほしくない。中学からやりたい分野は決まっていて、進学するなら自分で頑張らないと、と思っていたので高校時代からバイトはしていました。母も祖母も高卒で、大学に行くって感覚がないのだと思います」

いつも本屋や図書館にいる子どもだったようだ。家族や親戚には変わっていると言われている。中学のときは成績トップで、地元の最難関校を受験。失敗して第2志望に進むものの、そこで真帆さんはイジメの対象になった。

「高校は金銭的に余裕のある人ばかりで、最初からズレを感じてました。たとえば放課後に遊びに行くときも、遊びにかけられるお金の額が違う。生活水準のズレがありました。イジメっていっても、大きい声で悪口言われるみたいなレベルです。わかりやすい嫌がらせみたいなのが多かった」

クラスメイトにされたのは無視、バカにされる、物を隠されるなど。露骨な嫌がらせが続き、高校では卒業まで孤立していた。

「中学からと高校からの生徒の成績を見るための入学前テストがあったのですが、その成績がよくて、勉強ばかりしている子、みたいな感じになりました。ガリ勉キャラが定着して、あの子は先生に気に入られてウザイとか」

母親は再婚のことで頭がいっぱい

入学当初、思わぬ孤立に眠れないほど悩んだこともあった。そして同じ時期に、母親の再婚話が持ちあがる。母親に悩みを相談しようとしても、再婚相手のことで頭がいっぱいで聞き流された。進学や勉強のことに一切の興味はなく、悩みの相談もスルー、なにを語りかけてもすぐに再婚をしたい話にすり替わった。

「再婚相手にお子さんがいて、私が子どものなかで最年長でした。将来的に家族ぐるみになるとはいえ、無理やり相手の家族に会わされて、母親は再婚相手と2人だけの世界に入る。弟は母親の再婚とか、知らない女の子がいるところに連れていかれるとか嫌だったみたいです。私が弟に気を遣いながら、その相手の子たちとも仲良くして、子ども側はうまくやってますって雰囲気を作らなきゃならなかった。嫌だなと思いながら仕方なくやって、なんとか問題が起こらないように気を遣い続けました」

学校では孤立し、進学したい意思は否定され、家に帰れば家族全員に気を遣った。自分の心を押し殺し、我慢しながら再婚を応援するフリを続けた。ある日、母親が再婚予定の相手の両親に家族全員で会いに行く、と言いだし、我慢の限界を超えた。真帆さんは「行きたくない!」と、初めて拒絶した。

「登場人物が増えるのはしんどかった。またうまくやってますよってアピールしなきゃならないと思うとウンザリしました。それで喧嘩した感じです。再婚に反対しているわけじゃなく、関係性として受け入れられない。どういう立ち位置でこの人たちと付き合うの、ってことです。母親は新しい家族とか新しいお父さんとか騒いでいて、私は付き合いきれませんでした」

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