林原グループADR申請でメインバンクの中国銀行の動きが焦点に
バイオ関連の大手企業、林原(岡山市)の事業再生ADR申請が伝えられ、同社のメインバンクである中国銀行の株価が急落している。
林原グループは、中国銀行の株式を10%以上を保有する筆頭株主でもある。林原グループは非公開の同属経営。バイオの技術力が高く評価されている一方で、不動産やホテル、美術館を所有し、企業メセナにも熱心。ただ、「幅広い投資の実態や経営内容についての開示がきわめて悪く、経営実態がわかりにくい」(銀行関係者)といわれている。岡山の駅前の再開発や、東京歌舞伎町の土地取得など不動産事業で手を広げすぎたことが経営の行き詰まりの原因とも指摘されている。
負債総額は1400億円とされているが、粉飾報道も飛び出し、デューデリジェンスをするまで、実際のバランスシートの実体はわからない。実権を握っていた林原健社長と靖専務の兄弟が近く退任することを発表している。
岡山経済への影響も大きく、トレハロースで「製菓メーカーのほとんどと取引がある」(業界関係者)とされ、影響の大きさからも再生支援を期待する声がある。しかし、他の取引銀行からは「経理の実体が不透明なら、当然、ADRはありえない」「筆頭株主でもあり、メインの中国銀行のグリップが弱かったことが大きな問題」と不信の声が上がっており、ADRの成立は難しそうだ。
中国銀行の林原グループへの融資額は449億円。2005年に岡山駅前の再開発用地に400億円の根抵当権を設定していたが、昨年12月に本登記を行い、保全を図っている。ただ、05年に比べれば実際の担保価値は大きく下がっているとみられる。また、再建のために一定の債権放棄は迫られるだろう。
中国銀行の資本レベルは、Tier1自己資本(中核的自己資本)が3607億円あり、Tier1自己資本比率で13.59%(2010年9月末時点)と、財務上の問題とはならない。そもそも、有価証券の含みも540億円あるので、今11年3月期は期間損益も赤字には陥らず、ある程度数字を埋めてくる可能性が高い。2月4日には業績修正発表が出る予定。「東洋経済オンライン」は現時点では予想数字の修正は行わない。
ただ、優良地銀でありながら、地元経済の資金需要の厳しさを背景に、与信では良い貸出先がないのが中長期的な悩みの種となっている。有価証券の運用は巧みとされているが、与信が伸びないことの裏返しでもある。
(大崎 明子 =東洋経済オンライン)
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 経常収益 業務純益 経常利益 当期利益
連本2010.03 135,509 ・・ 18,356 10,255
連本2011.03予 129,000 ・・ 28,000 15,800
連本2012.03予 128,000 ・・ 28,000 15,800
連中2010.09 67,530 ・・ 13,159 7,788
連中2011.09予 66,000 ・・ 14,000 7,900
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1株益¥ 1株配¥
連本2010.03 44.4 12
連本2011.03予 68.3 13-15
連本2012.03予 68.3 13-15
連中2010.09 33.7 6.5
連中2011.09予 34.2 6.5
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