これまでとまったく違うヤバい円安が起きている デフレマインドに支配されているのは日銀だけ

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さらに、さらに、最悪なのは、これはあるべき姿の正反対であることである。つまり、本来あるべき姿=通貨の番人たる一国の中央銀行にとってもっと重要なことは、自国通貨価値を維持すること、守ることであり、通貨価値を安易に毀損しようとする政治的勢力と戦い、通貨を「ポピュリストたち、経済を理解していない人々」から守り、価値を死守することが、唯一最大の役割なのである。

そのために、中央銀行の政治的独立性が重要なのであり、日本銀行も独立性を獲得するために、悲願だった日銀法の改正を21世紀に入る寸前、1997年になってようやく達成したのである。

「通貨の番人」が自ら通貨価値を下落させようとした

それにもかかわらず、皮肉なことに、日銀自らが通貨価値を下落させることに躍起になり、政治家たちがそれを止めようとしているのである。これがこの世の終わり、日本経済の終わりでなくて何であろうか。

これがヤバいことは、経済の素人にも一目瞭然である。具体例も目の前にある。ロシアのウクライナ侵攻が起こる前の世界のリスクといえば、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の「ご乱心」によって「トルコリラの暴落を止めるため」などと称して、中央銀行に金利を下げさせて、暴落が大暴落を呼んでいたことだった。

つまり、トルコの破綻が新興国の通貨市場、金融市場に波及することを恐れていたのであった。通貨価値が下落するとどれだけ悲惨になるかということは、トルコ経済を見ればわかる。さらに、ロシアもルーブルが暴落し、この防止が最優先で、ウラジーミル・プーチン大統領は、原油や天然ガスの支払いにルーブルを強制しようとしたが、これもルーブルの価値を回復するためであった。

そもそも、自国通貨は強いほうが良い。これは、経済学においては、はっきりと成立している。そして、実際の経済においても、明白だ。短期的な雇用維持、あるいは目先の需要喚起として、一時的には自国通貨が弱いことのメリットがある場合があるが、それを続けていれば、国富が目減りし、経済は衰退する。これは、「日銀は庶民が苦しむ円安政策をすぐ変更すべきだ」でも書いた通りだ。

しかし、事態はより深刻である。本当にヤバいのである。

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