実際、ディープインパクトは優れた馬だったが、全力を出し切ったことはない。直線の切れがあることだけが証明され種馬になるまでわからないのだ。短距離血統、長距離血統というのも怪しい。
現在最も種付け料が高いロードカナロアの産駒でも、最初の2000メートルをリラックスして走ることができる気性に育てば(騎手の力があれば)2400メートルでも切れ味で勝つことができる。だから、日本馬は差し、追い込みの切れ味のある馬ばかりが重宝される。しかし、それは種馬になって子供を出すまでは、本当に強いのか、ラスト400メートルの切れ味だけなのかわからない。
一方、逃げ馬は、常に全力を出し切る。だから、価値がはっきりしている。逆に言うと、底が知れている、ということもある。逃げ馬に名種馬が少ないのは、ミホノブルボンなど、能力を出し切っていたため、他の能力を秘めたまま競走馬生活を終えた馬よりも、レースでは圧勝でも、潜在力では劣る可能性があるからだ。
私の大好きだったキセキもその可能性はあるが、一方、キセキがいなければ、2018年のジャパンカップのときのアーモンドアイも、2019年の宝塚記念のリスグラシューも生まれなかったのだ。逃げ馬こそがJRAのぬるい競馬を救うのである。
大阪杯はジャックドールVSエフフォーリアの一騎打ち
さて、3日の大阪杯(阪神競馬場第11R、距離2000メートル、G1)は、その逃げ馬であるジャックドールと3歳にして日本の王者となったエフフォーリアの一騎打ち。
この2馬以外、本来は出走するのがおかしい。スポーツとしては2頭立てでやるべきで、他の馬はギャンブルのための付け合わせに過ぎない。しかし、その付け合わせが勝ってしまうのがJRAの競馬で、漁夫の利を得る追い込み馬が勝つ可能性もある。しかし、ここは、2頭のマッチレースを期待したい。
常に逃げているが、まだ全力を出し切っていないジャックドール。すべてのレースでラスト1ハロンが12秒台で、ラップよりも1秒程度遅い。しかし、バテている気配はなく、楽勝なので最後流しているからで、ここにエフフォーリアが襲いかかったらどうなるのか。1秒縮まるのか、バテるのか。いよいよ彼の全潜在力がわかる。
一方、エフフォーリアもこれまで全力を出し切ったことはなく、コントレイル、グランアレグリアを倒した天皇賞でも、まだ底を見せていないのだ。この週末、彼のすべてがわかる。
私は、教え子の生産馬ということもあるが、ジャックドールの単勝。
エフフォーリアに負けるなら悔いはないが、漁夫の利の馬が出てくるなら、しばらくJRAの競馬は見たくない。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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