逝去から2年、志村けんの笑いが今こそ必要な訳 重苦しいムードが漂う中で、春らしい笑顔を

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「『よく思いついたな』と思わせる」「お笑い好きの人ほど面白い」ものが多く、年齢を問わず誰もがわかる志村さんやドリフターズのような笑いは、なかなか見ることができなくなりました。だからこそ「間口の広さ」と「希少価値」という狙いが見えてきます。

さらに志村さんやドリフターズのコントは、日常生活を舞台にしたものが多いため親近感があり、家でくつろぎながら見るのに適していることも強みの1つ。また、短いネタで次々にさまざまなキャラクターを見せていくスタイルのため、ネット動画に慣れた現代人の好みにもフィットし、特にメインターゲットの10~40代に向けた番組を作るときに重視するポイントに合致しています。

年齢層を問わないわかりやすさ、日常生活が舞台の親近感、短いネタを次々に見せるスタイル。そんなコントのコンセプトは、現在のテレビマンたちにとっても理想的なものなのです。

面白いのはそれらのコンセプトが「似ている」と言われている錦鯉が、昨年12月の「M-1グランプリ2021」で優勝したこと。これは裏を返せば、「後輩のコント師たちが次々に現れても志村さんとドリフターズはスタイルを変えず、現在まで自分たちのコンセプトを貫いてきた」ことの証しであり、「再び時代の流れが向いてきた」と言えるのではないでしょうか。

再び表現の幅を広げていきたい

そしてもう1つ志村さんとドリフターズのコントが今、求められている理由として挙げておきたいのは、テレビマンたちの願望と本音。

かつては気軽な気持ちで見てもらっていたバラエティが、表現の制限やコンプライアンスの遵守が強く求められるようになり、さらに「くだらない」「これはよくない」などの批判を浴びやすい環境になるなど、作り手にとっては難しい時代になりました。しかし、「貴重な志村さんやドリフターズのコントなら、喜んでもらえる声のほうが多く、それらの声は少ないのではないか」という目算があるのです。

また、現在では批判を受けがちなことも、「かつてはこういうこともやっていて楽しかった」「これくらいはいいのではないか」という声などで、再び許容される表現の幅を広げていきたい。少しずつ他の番組に反映させていきたい。バラエティを手がけるテレビマンたちの頭には、そんな願望もあるようなのです。

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