「フードロスゼロ」とことんやれば食費ゼロに? 東京の片隅で展開される「完全なる循環型社会」

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出張先の東北の温泉で食べた、土地の伝統食を中心とした朝ごはん。当たり前の野菜を大切に食べ尽くす滋味をしみじみ学ばせていただきました (写真:筆者提供)
疫病、災害、老後……。これほど便利で豊かな時代なのに、なぜだか未来は不安でいっぱい。そんな中、50歳で早期退職し、コロナ禍で講演収入がほぼゼロとなっても、楽しく我慢なしの「買わない生活」をしているという稲垣えみ子氏。不安の時代の最強のライフスタイルを実践する筆者の徒然日記、連載第51回をお届けします。

本来食べられるのに「捨てられる」食品たち

このところ、エコといえば話題に上るのが「フードロス」。農林水産省によれば、本来食べられるのに捨てられる食品は年間570万トン。日本人1人当たり毎日お茶碗1杯のご飯を捨てていることになるそうである。

稲垣えみ子氏による連載51回目です。

むろんこれは単純計算で、この中には家庭で捨てられるものの他、小売店や飲食店で捨てられるものも含まれているのだが、いずれにせよ実にもったいないというか、「お茶碗にご飯粒を残したら目がつぶれる」と親に言われて育った昭和な人間の感覚から言えばまったくもってバチ当たりな話で、こんなことを国民こぞって当たり前にやっていては、いつどのような天罰が下ったとて文句も言えぬのではないかとオバサンは思う。

ま、そんな説教話はさておいても、家計の面から見ても、これはどう考えても「異常行動」としか言いようがないのは万人が認めざるをえないところであろう。

何しろ苦労して懸命にお金を稼ぎ、そのお金でようやく生きるための食べ物を買い、それをわざわざ捨てるのだ。改めて書いてみればまったくもってナゾそのもの。

百歩譲って「お金が余って余って仕方ない」というならそのような酔狂な行動もありうるのかもしれないが、どう考えてもそういうコトじゃないですよね。このシビアな格差社会では、一部の人を除いては、老後のお金も今の生活のお金も「足りない!」と心配が尽きぬ人ばかり。

次ページ貴重なお金を自らドブに捨ててしまうのはなぜ?
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