将来の損失に備えて引き当てる工事損失引当金が再び増えている。とくに目立つのが「麻布3兄弟」だ。
「仕事はあるのに、利益率がぐっと落ちてきている」
スーパーゼネコンの一角、清水建設の井上和幸社長は、現在のゼネコンの豊作貧乏ぶりについてこう語る。
ここ数年、ゼネコンの受注は潤沢だ。建設経済研究所によると、2022年度の建設投資見通しは63兆0400億円。前年度比0.8%増と伸び率は低いが、過去20年間で最も多い。商業施設やホテルの工事は低調だが、物流施設やデータセンター、大都市圏での再開発の工事が豊富にある。国土強靱化関連の土木工事も底堅い。
「(請負額が)1000億円を超える工事が普通に出てくるようになった」と大成建設の相川善郎社長が語るように、工事は大型化している。失注すると影響が大きく、ゼネコン各社は獲得競争に躍起になっている。その結果、受注時の工事採算が低下。建設資材費や人件費も日を追うごとに上昇しており、受注後の利益率が悪化するケースが続出している。
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