名門「オンキヨー」筋の悪い増資で迎えた末路 万策尽きて上場廃止の回避ならず

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EVOに憤ったオンキヨー

ひょっとしたら債務超過を回避できるかもしれない。そんな空疎な期待感が2021年3月31日ギリギリまで株式市場には漂っていた。

第10回の新株予約権が順調に行使されていたうえ、オンキヨーが地元大阪のサッカーチームへのスポンサーを継続すること、「輸入オーディオ事業好調、売上前年比300%達成」といった楽観的なリリースを発表していたからだ。

3月15日には約21億円のDESも発表。これで、計算上は同額の債務超過削減効果が見込める。3月30日にはDESが完了し、3月31日の株価は場中に24円の高値、終値で22円をつけた。

2021年3月31日、オンキヨーが上場廃止基準抵触についてのリリースを公表した(編集部撮影)

が、奇跡は起きなかった。

3月31日の18時30分、オンキヨーから「上場廃止基準抵触の見込みに関するお知らせ」と題したリリースが開示され、2021年3月末に債務超過を解消できなかった事実が記されていた。

第10回新株予約権の12億円、DESの21億円を加えても「債務超過解消のための不足額が2319百万円残る見込みとなりました」(同リリース)。第11回、第12回の新株予約権のどちらかでも行使されていれば債務超過を回避できたが、 EVOはいずれも行使しなかったのだ。

オンキヨーは土壇場までEVOによる新株予約権の行使に期待をかけていた。「EVOは正式にやる(行使する)と言ったわけではないが、やってくると思うような状況だった。はっきりやらないと言われたのは3月31日だった」とオンキヨーのIR担当者は怒りを隠さなかった。

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