過去に類を見ないほど強力な「買収防衛策」の導入に、筆頭株主が猛反発。渦中の両社長の証言などから、その全容と是非を考察する。
主要国ではそもそも起こりえない
――東京機械は、ポイズンピル発動の是非を問う10月22日の株主意思確認総会で、4割近い同社株を保有するADCの議決権行使を認めませんでした。こうした例は過去にあるのでしょうか。
東京機械の臨時総会が初めてでしょう。
――世界的にも初めて?
主要国において初めてでしょう。例えばアメリカの場合、買収防衛策が正当化された「ユノカル基準」という1985年の判例の下で、企業は「相当の範囲」で防衛をしている。つまり、ポイズンピルは取締役会決議だけで発動できる。意思確認総会ではかるということに、そもそもならない。
欧州ではそもそも、市場での買い集め行為で経営支配権を取得することはできない。30%以上の議決権を取得する時は、全株式を対象にTOB(公開買い付け)をしなければいけないことになっている。
――4割近い株を持っている株主の議決権行使を認めないのは、「株主を、その保有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない」と定めた会社法109条1項の「株主平等の原則」に反するのではないしょうか。
割り当てられた新株予約権を大量買付者が行使できない、という対抗措置自体には、株主平等原則上の問題はあるかもしれない。ただ、同原則は例外を許さないものではない。同原則に反していても「衡平の理念に反せず」「相当なものであれば」許されるだろう。
――法的に「衡平」で、理屈に合っていれば例外的に許されると?
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