過去に類を見ないほど強力な「買収防衛策」の導入に、筆頭株主が猛反発。渦中の両社長の証言などから、その全容と是非を考察する。
東証1部上場で国内最古の新聞輪転機メーカー・東京機械製作所が、同社の経営をめぐり東証2部上場のアジア開発キャピタル(ADC)と壮絶なバトルを繰り広げている。
ADCが割安な日本株の1つとして2021年3月に買い始めた、東京機械製作所の株式。保有比率が急増することに、東京機械の経営陣は懸念を深めていく。同7月には、株式の保有目的を「支配権の取得」に改める変更報告書がADC側から出され、東京機械側の危機感はさらに強まっていった(ここまでの詳細は前編:東京機械vsアジア開発「仰天買収防衛策」への発端)。
同年8月に入ると、東京機械が動き出す。ADCのアンセム・ウォン社長(36)宛に、東京機械の都並清史社長(62)が書簡を送ったのだ。書簡は8月3日付、ADCに届いたのは同4日正午だという。
「連絡ない」からポイズンピル「導入」
「貴社らは、当社宛に特段のご連絡なく、当社株式を買い進めており、当社といたしましては、大変困惑しております。(中略)支配権を取得した後の貴社らによる当社の経営方針等については、何ら存じ上げておりません。(中略)一方的に、当社株式の買い増しを行うことに対しては、ご遠慮いただきたい」(書簡より一部抜粋)
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