東京機械を大胆な買収防衛策へ駆り立てた「恐怖」 都並清史社長「必ずしも強烈な策とはいえない」

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過去に類を見ないほど強力な「買収防衛策」の導入に、筆頭株主が猛反発。渦中の両社長の証言などから、その全容と是非を考察する。

「一騎打ちをしては負ける、淡々と戦おう」と社員に語ったという都並社長(撮影:尾形文繁)

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国内最古の新聞輪転機メーカー・東京機械製作所が、同社の買収防衛策をめぐり投資会社のアジア開発キャピタル(ADC)とバトルを繰り広げている。今年4月に東京機械の社長に就任した都並清史社長(62)を直撃した。

「企業価値の毀損が起きる」と直感

――いつから東京機械株売買の「変調」に気づいていましたか。

東京機械の株は2021年1月5日の安値で256円をつけた。それが年初来最安値。1月に200円台だった株価は2月に300円台になり、3月には400円台になり、私と青木宏始会長が代表取締役に就任した4月には500円台になった。

総務とは「この出来高の増加や株価の上昇は何だ? 信用取引も多いが、変なことは起きていないか?」と話していた。このことは社内でずっと共有してきた。買い手は機関投資家なのか、一般株主なのか。幹事証券は「信用取引ということは、日本証券金融へのお金の動きを見ても、デイトレードを含めたマネーゲームでしょう」と。

――7月20日にADCが大量保有報告書を提出し、突如として東京機械の筆頭株主に躍り出ました。

その日は出張で大阪へ向かっていた。アジアインベストメントファンド(AIF)という初めて見る社名の株主が(ADCと共同で)8.08%保有していると、伊丹空港から梅田に向かうバスの中で知った。

「会社の企業価値を根本的に毀損することが起きる、ないしは起きつつあるのではないか」と直感した。梅田に着いて、バスを降りてすぐ総務を介し幹事証券会社に連絡をしたところ、「保有目的が『純投資』だから、株を高値で売ってキャピタルゲインを得ることが狙いでは」という返答だった。

――翌7月21日に、その保有目的が「支配権の取得」に変わります。

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