これまで増産に慎重姿勢を貫いてきた半導体ウェハー大手のSUMCO。投資に踏み切った裏側で、周到な段取りが透けて見える。
世界的な需給逼迫が続く半導体。その”黒子企業”が、ついに大規模な生産能力の増強に打って出た。
半導体シリコンウェハー大手のSUMCOは9月末、製造拠点の新設を伴う増産に踏み切ると発表した。
佐賀県伊万里市の主力工場と長崎県大村市の工場に約2287億円を投じて新たな建屋を建て、最先端のウェハーを増産する。2023年後半に竣工し、2024年から2025年にかけて量産体制が整う予定だ。台湾の子会社でも282億台湾ドル(約1150億円)を投じて工場を新設し、旧世代のウェハーを増産する。
投資の回収にメド
これに伴い、同社は公募増資で資金を調達。6000万株の新株を発行し、調達金額は約1200億円、希薄化率は20.6%に及んだ。
増資をすると、株式数が増えることにより1株当たりの利益や株主資本が希薄化し、株価の値下がりを招くことが多い。SUMCOも増資発表翌日の10月1日の株価は前日比100円(4.5%)安の2151円まで下落し、その後もしばらく低迷が続いた。
ところが、発表の2週間後には増資発表前の株価を回復した。11月4日の決算説明会で橋本眞幸会長兼CEO(最高経営責任者)が「設備投資の回収メドはついている」と話したこともあり、翌5日は前日比6.9%高の2418円まで上昇。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら