過去に類を見ないほど強力な「買収防衛策」の導入に、筆頭株主が猛反発。渦中の両社長の証言などから、その全容と是非を考察する。
「純投資」のままでは不自然
――投資先として東京機械製作所を選んだ理由は。
日頃から国内上場企業のPBR(株価純資産倍率)などに着目し、投資対象の検討を重ねている。東京機械に目をつけたのは1年近く前だ。PBRは0.3しかなく、非常に割安になっていた。また、私の父親がマレーシアで印刷工場をやっていて、輪転機に関心があったということもある。
最初に買い付けたのは今年3月30日だ。東京機械だけでなく、割安になっている複数銘柄に投資した。使っているのは楽天証券の「マーケットスピード2(MS2)」。事前に設定した条件に則って、自動的に発注、買い付ける優れたアルゴリズム取引のソフトだ。これを使ってアルゴ取引を繰り返すうちに東京機械の保有比率が5%を超えた。
――保有目的を「純投資」から「支配権の取得」へ即座に変えたのは。
投資を開始した時点では経営支配権を取得しようとは思っていなかった。保有割合が8.08%(ADCとAIFの共同保有割合、以下同)に達した7月13日の時点でも「純投資」だと考えていた。ところが翌14日に15.01%になった。
こうなると、保有目的を「支配権の取得」に変えないといけないのでは、「純投資」のままでは不自然になるのでは、と思い悩んだ。同21日に変更報告書を提出する際、保有目的を変えた。
――東京機械側は「買うスピードが速すぎる」と指摘しています。大量保有報告書を提出したのは7月ですが、同月内に保有割合が3割に達しました。
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