常見 そして大賞を含めた「トップ10」の話なのですが、「ベスト10」ではないのが面白いですね。
清水 そうですね、新語・流行語大賞はベスト10のような「データを基にしたランキング」ではなく、あくまで(この7人の審査員から)選ばれたトップ10なのです。
常見 「これからはビッグデータだ!」と言われ、「データによるランキング」が作りやすい時代に、あえて審査員が選んでいることに価値があるように思います。しかし、清水編集長、失礼ですが私は、定例で録画している番組しかテレビを見ないもので、トップ10にも知らない言葉が・・・。
清水 いえいえ、そんなものですよ。一昨年のスギちゃんの「ワイルドだろぉ」とかもそうだったかもしれないですが、ある意味で「必要のない言葉」じゃないですか。
常見 またもや審査員自らの爆弾発言(笑)。今年のトップ10、「カ―プ女子」「妖怪ウォッチ」は文句なしに流行をとらえた言葉だと思います
清水 あと「ありのままで」も映画(『アナと雪の女王』)、関連商品ともに絶好調ですから、異論はないでしょう?
常見 清水さん、白状します! 僕、「アナ雪」見ていません!主題歌にMay.Jバージョンと松たか子バージョンがあることも知らずに・・・。いや、ぶっちゃけ、レンタルしたのですが、忙しくて観ることができず。妻はそこそこ楽しんでいたようですけどね。
一同 (笑)
昭和の時代とは状況がまったく違う
清水 常見さん、大丈夫です。実はまだまだ観ていない人は多いと思います。私も審査員の仕事をしていなかったらきっと見てなかったですから。昭和の時代とは状況がまったく違います。様々なジャンルから選ぶので、選ぶ側としてもトップ10の言葉を皆さんがすべて知っていることは想定していませんよ。
常見 そうですか、安心しました。今の議論で腑に落ちたのが、現代はすべての流行語が把握できないほど、ジャンルが細分化している情報過多の時代なので、専門の違う7人の審査員が選んでくれた言葉で「今年はこういう年だったのかも」と確認できることに「流行語大賞」の意味があるように思います。
清水 そのように新語・流行語大賞を活用していただければ、嬉しいですね。
常見 ダジャレみたいですが、「文化が分化した」分衆の時代、社会が島宇宙化した現代にあって、流行語大賞は「大衆の最後の砦」のように思いますね。
清水 そこまで言っていただけますか。ありがとうございます。「大衆の最後の砦」と言えば、NHKの「紅白歌合戦」がそんな存在ですかね。欠かさず見るというのではないですが、たまにゆっくりできた大晦日とか、こたつに入ってみると、なんだか「良き日」に帰れる気がしてくる。これが紅白の価値じゃないでしょうか。
紅白の出場者もランキングからは決まらない。そして全体的に昭和の雰囲気が漂っているということで、「流行語大賞」と似たところがあるかもしれませんね。
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