流行語大賞の「メディア陰謀説」は本当か 「集団的自衛権」「ダメダメ」W受賞はなぜ?

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常見 なるほど。そこにある「良き日に帰れる」という感覚は、まさに「ベタ」を求める感性だと思います。ブームになった『冬ソナ』や『プロジェクトX』も支持されたのは、「あの輝いていた日に帰れるのではないか」と思ってしまう「ベタ」な部分があったからですよね。そしてまさに今年の紅白のトリは聖子ちゃん。そこに中森明菜が出て来るのかもということで、「ベタ」であり、「昭和」なわけですね。

結局僕らは「ベタ」なものが大好きだし、「昭和」をやめられないのですね。実は来年の2015年は、昭和に直せば「昭和90年」なんです

清水 確かに、計算すればそういうことになりますね。

常見 まだまだ僕らは「昭和の論理」で生きているし、「昭和」は続いているのですね。僕たちはそんな「昭和」を「ベタ」に感じられる、紅白や流行語大賞がやっぱり好きなんでね。

あっさりしているようで、つかめる。ちょっと主張もある

常見 そして意外に知られていないのが、「ユーキャン新語・流行語大賞」のノミネート基準です。『現代用語の基礎知識』に用語として載っていることが条件ですよね。

清水 そうです。最近は嬉しいことに、「載せてくれ!」と言葉の資料を送ってくださる方もいます。

常見 編集長自ら、『現代用語の基礎知識』のおススメのポイントはありますか。

清水 事典のような形をしていますが、「事典を引く」というより、むしろ「読み物」として楽しめるものだと思います。

言葉を引いたつもりが、いつのまにか「時代」が読めていた!的な発見がいくつもあるはずです。重要な用語は何種類も解説が載っているので、様々な角度からの解釈や背景がつかめて、そこもこの本の魅力だと思います。

常見 一つの言葉の背景や使い方がまとめて分かるのが、何といってもいいですね。しかも専門家が書いている解説が、新書より少ない分量で読めます。そしてちゃんと説明しつつ、ちょっと主張があるのも良いですね。私、『現代用語の基礎知識』を読み始めたのは中1くらいの頃だったのですが、当時から、説明文に主張とか皮肉が入っていて面白いなと思っていました。

清水 依頼している側の意図としては、ネット検索でも済むような「定義だけの執筆」はやめて欲しいですね(笑)

常見 ドキ・・・。私も執筆者ですので、頑張ります。

清水 せっかく名前を出して書いていただいているので、なるべく個性を発揮していただきたい、執筆者の主張をふくめて。

常見 今では自らの主張を書ける場所は珍しいですよね。

清水 著者の方が「自由に書ける場所」となるように、ある意味「昭和なスタイル」で編集しています。それで喜んで書いてくださってる方もたくさんいます。

常見 「あっさりしているようで、ちゃんとつかめる。しかもちょっと主張がある」というのが、『現代用語の基礎知識』のお勧めポイントですね。

というわけで、「本当に流行語なのか?」とか「そんな言葉、知らないぞ」というご批判がありつつも、「ユーキャン新語・流行語大賞」も『現代用語の基礎知識』も、時代を証言する、分断化社会した時代に知識を共有するという意義を感じています。・・・来年は、より明るい流行語が増えるといいですね。ありがとうございました!

立ち上がった当初から、関係者の間で「そもそも、流行語なんてあるのか?」という議論があったという事実がまず面白い。よく、マスメディアが流行らせたい言葉が並ぶという安易な批判があるが、私は、なかなか皆が文化を共有できない時代に、その文化の証言者となりえる「ユーキャン新語・流行語大賞」と『現代用語の基礎知識』を評価したいと思う。2015年度版の『現代用語の基礎知識』は、いい感じの装丁で読み物としても面白い。労働者・学生・市民諸君、これはチェックだぜ。ゲットだぜ。

 

常見 陽平 千葉商科大学 准教授、働き方評論家

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つねみ ようへい / Yohei Tsunemi

1974年生まれ。北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。同大学院社会学研究科修士課程修了(社会学修士)。リクルート入社。バンダイ、人材コンサルティング会社を経てフリーランス活動をした後、2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師に就任。2020年4月より現職。専攻は労働社会学。大学生の就職活動、労使関係、労働問題を中心に、執筆・講演など幅広く活動中。『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など著書多数。

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