流行語大賞の「メディア陰謀説」は本当か

「集団的自衛権」「ダメダメ」W受賞はなぜ?

常見 でも今や流行語大賞関連の記事が載っていない媒体を探す方が難しい状態で、ネットで公開された結果は、すぐヤフートピックスに載る注目度です。

清水 確かに近年はたくさんの記者の方に来ていただいて、テレビ、新聞、雑誌と、記事にしていただいています。しかし、それはありがたいのですが、「どうしてこんなに記事にしてくれるのだろう」と思うこともあります。

それは、以前にくらべて、取材にツッコミがない。記事が平板になったなとよく感じるんです。「流行語大賞」って誰でもツッコミやすい話題だし、もっと工夫できそうなネタだと思うんです。

上司からの指令だからと会場に来て発表を聴いて、記事にして、というだけの取材だと、「それでいいのかなあ」と考えてしまいます。官庁の記者発表じゃないんだから。「何のための取材なの?もっといじっていいんだよ」と、余計なことまで言いたくなる。

常見 なるほど。運営側として取材陣が殺到していることも手放しで喜ばれているわけではないのですね。非常に健全な視点だと思います。

おそらく盲目的に記者が取材に来るのは、特オチ(どの報道機関でも報じられているニュースを、ある報道機関のみが報道できないこと)を避ける傾向にある日本のマスコミの構造上の問題と言えると思います。

清水 マスコミの体質の問題だということですか。しかし私は取材に来られる個々の記者の方からも違和感を持つことがあります。彼らのツッコミ力が弱いという以前に、ゼロからの質問が多くて、要は、あんまり考えてもらってないのかなと気づくわけですが。

常見そこから、マスコミの取材力が落ちていることが垣間見えますね。うん、入社年でいうと2002年前後で、良くも悪くも「ブンヤ臭」のする強い記者はいなくなったと思います。私はその頃、ベテラン記者相手に広報をやっていたので。若い記者と会うと「弱いなぁ」と思う瞬間は正直あります。「プレスリリースをもとに記事を書くのが、君の仕事ですか」「存在価値はなんですか」と言いたくなります。

「集団的自衛権、ダメよ~ダメダメ」W大賞の「狙い」

常見 今年の大賞は、「集団的自衛権」と「ダメよ~ダメダメ」という、2語並べることにメッセージ性を誰もが感じるもので、驚きました。会場で、大賞として「集団的自衛権」が発表された時は拍手がまばらで、続けて「ダメよ~ダメダメ」が発表されると万雷の拍手でした。ともすれば政治的にも見える大賞の選び方に各方面からツッコミが来ましたか。

清水 選挙の公示日に重なってしまったせいか、思ったほどの反響ではなかったですね。

常見 私の周りでは「どうせ、審査員の姜尚中と鳥越俊太郎が仕組んだんだろ」みたいな声はありました。真相は定かではないですけどね。やはり話題になることを狙っての大賞選出だったのですか。

清水 もちろんですよ。あえてトップテンから大賞を選ぶのですから、そこには意味がないと選考する意味もなくなってしまいます。検索ランキング数がいちばん高かったから大賞です、だったら「選考」はいらないわけです。

だから、「集団的自衛権、ダメよ~ダメダメ」。どっちか1本だったら記事にするにしても予定原稿をそのまま送るような仕事になって、それじゃ張り合いがないでしょう?

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