短期志向で賭けようとすればガタガタになる 長期投資に必要な“推”と“論”

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──いずれインフレになる予測ですね。

世界人口は基本的に増えていく。先ほどの国連推計では現在の72億人から2050年には96億人になるという。こうなると構造的にインフレになる、つねに需要が高まらざるをえない。これまでおカネをバラまかれ、それは景気対策のはずだが、役割が終わると次なる活動の場はおカネによるおカネの追っかけ。今の日本では2%のインフレも難しいように見えるかもしれない。だが、構造的にインフレが潜在している状況であることは間違いない。

いかなる状況でも人々の生活はある。人々の生活に密着している企業は今もビジネスをしっかり展開しているし、インフレ状態が一気に来たとき、その流れに乗ってビジネスを拡大できる能力もある。どうインフレに強い企業を読んでいくか。自らの読みを織り込んでいくことが大事だ。大きな流れをベースに読む。いろいろな要素が考えられるが、できるだけ論理で押さえていくことだ。

5~10年で大化け銘柄が続出する

──ファンドの組み入れ銘柄にどう適用し実践しているのですか。

うちのポートフォリオは、そのほとんどが将来性を含めて世界が必要とする素材・技術に注目したものばかりだ。5年から10年したら化けるのがいっぱい出るはず。それが長期投資の醍醐味なのだ。

この本では長期投資の方法論を書いた。日本企業の技術にはびっくりするようなものがたくさんある。自分なりに見つけてほしい。それが確実に長期投資につながる。その会社のすごさ、世界における立ち位置がわかると、その方法論自体がいつでも使える財産になる。長期投資家は碁盤に一つひとつ石を置いて考えていくように攻める。今やっても、花が開くのは早くて3年先か5年先かもしれない。それでいい。この方法論は10年経っても古くならない。大事なのはそこだ。

──ファンドの預かり資産や基準価格の推移を振り返ると、苦戦した時期もあります。

『長期投資家の「先を読む」発想法』 新潮社(1300円+税/237ページ)

それは苦戦ではない。ずっとにこにこしながら買っている。長期投資に向く銘柄が格好の株価になり買っている時期なのだ。みんなが捨てようとしているからウソみたいな価格で買える。

──昨年は大きく預かり資産が減りました。

うちのファンドは買うのも売るのも自由だから、持っている方が利益確定でお売りになったのだろう。払い戻しでそれだけ現金化されても、動じなかった。

──このところ3000億円台を回復しました。

1兆円あれば規模が力になり、長期投資で見事な結果が示せるのだが。

塚田 紀史 東洋経済 記者

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つかだ のりふみ / Norifumi Tsukada

電気機器、金属製品などの業界を担当

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