これでやるべきことが絞られたわけですが、まだ油断は出来ません。試験直前になると、だいたいの場合、勉強は思ったより進んでいないもの。ほとんどの人がモチベーションの高い最初の段階で無理な勉強計画を立てているからです。そうすると、「やろうと思っていたけれどやれない事項」、つまりmustの中でもやり残しが生じます。
かくいう私も、「あれもこれも」となったことはあります。この判例の最高裁判所調査官解説を読んでおこう、数学のこの過去問をもう一度解いておこう、などと思ったにもかかわらず、手が回らなかった……という経験は何度もあります。
「自分の実力×科目特性」で考える
ではそんな状況に陥ったとき、何を優先してやるべきなのか。それは「いちばん費用対効果のいい科目」です。
教員採用試験の場合、公務員試験特有の科目の多さがあり、1科目ごとの点数はそこまで高くありません。一方で、出る問題の形式から、点数の取りやすいものと取りにくいものに分かれます。
具体的に言えば、数学や理科は明らかに点数が取りやすく、ある程度の計算過程や理論を覚えていれば解ける問題が多い。一方で国語は読解力が問われるので、来年までに飛躍的に実力を伸ばすのは難しいでしょう。これはこの段階においては、勉強するだけムダということです。
費用対効果は、「今の自分の実力」と「科目特性」の2つの軸によって定まります。自分の位置が極めて下にある(30点以下の状態)のであれば、その科目は基本的に費用対効果が高いと言えます。点数が高くなるにつれ、1点上げるのにかかる労力も上がります。残された時間が少ないときには、点数が低い科目を優先しましょう。
しかし点数アップの余地が大きい科目でも、「科目特性」から見て不適切なものはリストから外すべきです。先に挙げた国語や小論文などの読解力・感性が問われる科目は、日本語的センスの差も大きく出ます。一方、漢字の書き取りや英語の暗記問題などは勉強量と点数が比例しやすいですから、同じ時間を使うのであれば後者のような科目が望ましいでしょう。
以上、must と nice to have なら must を取ること、must の中でも費用対効果のいいもの優先すること。これが8割を捨てるコツです。ご質問者様が来年の試験に合格されることを願っております。ではでは。
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