「下がらない日本株」に開けた展望と死角 21世紀の“未体験ゾーン”への突入も
株高はどこまで続くのか。
12月5日(金)の日経平均株価(終値)は1万7920円と、年初来高値を5日連続で更新した。2008年リーマンショック前につけた1万8000円台まであと一歩のところまできた。
12月14日投開票の衆議院議員総選挙で、自民党大勝を示唆する世論調査結果が新聞各紙をにぎわすなど、円安・株高をもたらしたアベノミクス継続の可能性が高まっていることが、投資家の買い安心感につながっている。10月末に決定した日本銀行の追加金融緩和や消費再増税延期で再び勢いづいた株高の流れは、さらに加速。「アベノミクス相場第2幕」が本格的に始まった。
「日本国債格下げ」を跳ね返す強さ
実は先週は先高期待を決定づける象徴的な出来事があった。12月1日(月)の株式市場の取引終了後、格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは、財政赤字削減目標の達成に不確実性が高まったなどの理由で日本国債を格下げした。
これをきっかけに、これまで日本株を活発に買ってきたヘッジファンドなどの短期筋が、利益確定の売りを出すと見られていた。場合によっては、「日本売り」の様相を呈すると身構える市場関係者もいた。
しかし、翌朝12月2日(火)の日経平均は取引開始直後こそ小幅安となったものの徐々に値を戻し、結局1万7663円と年初来高値を更新して引けた。「さすがに今日は売りに押されると思っていたんだけど。この相場は下がらんね」。ベテランファンドマネージャーも感心するほど、多少の悪材料には動じない下値の堅さを見せつけた。
この「下方硬直性」は日銀が支えている面も大きい。追加緩和で日経平均などとの株価指数に連動するETF(上場投資信託)の購入枠を、それまでの3倍の3兆円に増やした。実は12月2日も日銀はETFを374億円分購入していた。「実弾」を投入する日銀は、アベノミクス相場で重要な役割を演じている。
さらに世界最大の年金運用基金、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も株式投資枠の拡大を決めており、今後は日銀とともに株式市場の下支え役になると見られている。
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