「下がらない日本株」に開けた展望と死角 21世紀の“未体験ゾーン”への突入も

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下がりにくいとなれば投機的な売り仕掛けはしにくくなり、おのずと先高期待が強まる。では、どの程度まで上昇が見込めるのか。目安となる、日経平均の過去の高値を見てみよう。

2万円の大台も視野に

まず、ターゲットとなるのは2007年7月につけたリーマンショック前高値の1万8261円。すでに1万8000円目前まで迫っており、リーマン前への回復は射程圏に入っている。米国のNYダウ平均は昨年、リーマン前に戻っており、日本株は遅ればせながらの奪回となる。これを抜くと視野に入るのは2万円の大台。そして、2000年4月につけたITバブル時高値の2万0833円だ。実は21世紀に入ってから2万円は“未体験ゾーン”なのである。

現在、株式市場関係者の間では、2015年に日経平均は2万円を回復するとの見方が増えている。その理由は、輸出企業を中心に円安効果で業績が一段と伸びると予想されているためだ。安倍政権の株高政策継続に好調な企業業績が加われば、15年ぶりの2万円超えもありうるだろう。

週刊東洋経済2014年12月13日号(12月8日発売)の特集は「いま、買うべき株と投信」です。今後、何に投資すべきか?注目ポイントや銘柄選択のツボを徹底解説。

もっとも、今の株式市場に死角がないわけではない。2015年半ばとも予想されている米国の利上げは、世界的に株式市場が変調するきっかけになるとの見方がある。また、総選挙後も、4月の統一地方選や9月の自民党総裁選など、アベノミクスの信認を問う政治イベントが控えている。円安が一段と進むようだと輸入物価を押し上げることになるため、消費の冷え込みや内需企業の業績が悪化する恐れもあり、そうなるとアベノミクスに対して疑問の声が高まるかもしれない。

こうしたリスク要因を踏まえながら、どのような銘柄を選ぶべきか。株式投資の王道は、成長企業に目をつけること。今は円安効果が多くの輸出企業の業績を押し上げているが、逆に円安で投資収益が目減りする外国人投資家の銘柄選別の目は厳しくなる。成長期待がもてる銘柄と期待できない銘柄では、株価の二極化が進みそうだ。

成長銘柄のキーワードは「企業の自助努力」。まずは、外国人投資家が注目する自己資本利益率(ROE)への取り組みが、株価の行方を左右する重要な判断材料になる。

山本 直樹 東洋経済 記者

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やまもと なおき / Naoki Yamamoto

『オール投資』、『会社四季報』などを経て、現在は『週刊東洋経済』編集部。

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