『寄生獣』山崎貴作品の本当の魅力とは? 「VFX"も"すごい、という作品を作りたい」

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©2014 映画「寄生獣」製作委員会

プロデューサーや出資してくれた人も喜んでくれているようなので良かったとは思っています。もちろんこの映画が当たって、日本映画がビジネスとして成立する連鎖を作っていくことでしか、僕らが生き残る手段はないので、ヒットするといいな、とは思っています。ただ、いつもの作品に比べると間口の狭い映画なので、そこがどうなるのかが不安ではあります。

山崎監督はマンガが大好き

――山崎監督の作品を振り返ると、「宇宙戦艦ヤマト」「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」と、ファンの目が厳しい作品を数多く手がけてきた歴史があります。今回も、原作のコミック「寄生獣」は特に熱狂的なファンが多い作品ですし、この映画を実写化するのは大変な苦労があるかと思うのですが。

これまでいろんな映画の話をいただいてきたのですが、結局、決め手はその企画と心中できるかどうかだけなんです。自分がその作品に思い入れがあるか どうか。特に子供時代に好きだった作品で、「これを待っていたんです!」といった作品だったら、まず断らないですね。特に、原作があるような作品は、ファ ンがたくさんいるという前提で作られるわけですから、当然、ファンからの反発がくることは覚悟しています。

実写でやるわけですから、当然そこには実写化への“翻訳”が入ってくるわけですし、僕が作る上でのフィルターも入ってくる。その中で、万人に受ける ようなものを作ることは、少なくとも僕には出来ない。ですから、その作品が気に入らないという人にいろいろ言われることもあると思います。でも、そういっ た言葉を平気で受け止められるくらいにその作品が好きだったら僕はやります。時にはすごいビッグタイトルのオファーを受けることもありますが、自分に思い 入れがない作品だったら僕はやれないですね。

――マンガ原作の作品が多いところを見ると、監督はマンガがかなり好きなのではないでしょうか?

山崎貴(やまざき たかし)
1964年、長野県出身。1986年に株式会社白組に入社。CMや映画などでのミニチュア制作を担当するほか、伊丹十三監督の『大病人』『静かな生活』ではデジタル合成、SFXなどを担当。2000年『ジュブナイル』で監督デビュー。その後、2005年の『ALWAYS 三丁目の夕日』で日本アカデミー賞監督賞を受賞。ヒットメーカーとして確固たる地位を確立する。その他の主な作品として『ALWAYS 続・三丁目の夕日』『BALLAD 名もなき恋のうた』『SPACE BATTLESHIP ヤマト』『永遠の0』などがある。
(撮影:大澤 誠)

大好きですね。僕自身はずっと紙でマンガを読んでいこうと思っていたんですが、何カ月か前につい電子書籍に手を出してしまった。僕は本を読むスピー ドが早 いので、次々といろんな本を読み進めています。そのサイトはポイントが100円につき1円くらいつくらしいんですが、ここ数カ月間で60万円分くらいのポ イントがついていました(笑)。もしかしたらその中に映画の鉱脈があるかもしれないですし、半分は「仕事じゃないか」と自分をだましながら読んでいます。 ほかにも読み放題のサイトに登録していますし、マンガはそうとう読んでいますね。

――ハリウッドにあった原作コミックの映画化権は、映画化されず日本に戻ってきました。やはり「日本ならではの寄生獣をみせてやるぞ」といった気持ちがあるのでしょうか?

それはあります。もともとは日本で生まれたマンガですから。敵とされる寄生生物と、味方とされる人間を善と悪とに分けるとしたら、主人公はその中間に位置するわけで。中間にいながらも揺れ動くキャラクターって「デビルマン」や「仮面ライダー」じゃないですか。さっき別の取材をしていたときに言われたんですが、日本人というものが西洋と東洋の合間で揺れ動いている文化だというのもあるからじゃないかと言われて。なるほどと思ったんです。

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