『寄生獣』山崎貴作品の本当の魅力とは?

「VFX"も"すごい、という作品を作りたい」

―― 一方、作品のストーリーづくりで心がけていることはなんでしょう?

(撮影:大澤 誠)

それこそ、「話は全然面白くなかったんだけど、VFXだけすごいね」と言われることほど悲しいことはないと思うんです。それなら僕は監督ではなく、VFXの人に戻ればいいわけですから。そうではなく、「ストーリーが面白かったけど、そういえばVFXもすごかったね」と言われたいと思っています。ちゃんとしたお話の上の上に乗ったVFX作品でないといけない。僕の感覚だけでなく、プロデューサーはじめいろいろな視点から「面白い」といえるような機運になるまではゴーサインを出さないようにしています。

――VFXばかり前面にでていますが、監督がつくる作品は「心に刺さるストーリー」を丁寧に築きあげていると思うのですが。

それ、でっかい字で書いてください(笑)。「VFXの人」と言われるのはしょうがないし、それが僕の武器でもありそう言われることはありがたい。VFXがあるからこそオファーが舞い込むことがたくさんあります。しかしVFXに気を遣うのと同じくらいお話のことも考えています。VFXなしの作品を作ろうと考えたこともあるが、それは、「VFXがなくても映画を作れる」という証明行為にしかならないと思いはじめています。それにVFXの映画を作らないとCGを作るスタッフを路頭に迷わせることになりますし、今は考えていません。

3年先までスケジュールは埋まってる

――以前、深夜のバラエティ番組でHKT48の指原莉乃さんが山崎監督のもとを訪れ、「わたしが主演の映画を作ってほしい」と直訴するシーンを見ました。そのときの監督の断り文句は「3年先までスケジュールが埋まっているからダメ」と。そんなに先までスケジュールが詰まっているのでしょうか?

やはり映画を1本作るのに少なくとも1年くらいはかかってしまう。たとえば今の段階で言うと、来年のGW公開の『寄生獣 完結編』があります。それからその次の映画があります。今はその次の作品の脚本を作っている段階ですが、これで2年は埋まってしまう。そしてその次は「これをやるんだろうな」といった企画が複数あるわけです。そうすると、なんだかんだでつねに3年は埋まっているんです。

1本を完成させると、待機している作品を1本ずつシフトさせるという形で、毎年スケジュールを決めています。やはりそういう風に次の作品を決めていかないと映画監督という職業は怖くてやっていけません。僕は先々の作品のことも、どういうアプローチでやっていくのか。できればつらつらと考えたいタイプなので、行き当たりばったりで作品に入るのではなく、いろいろなことを学びたいと思っている。特に僕が手掛ける作品は、昭和だったり、戦争ものだったり、宇宙だったり、時代劇だったり、クリーチャーものだったりと、毎回違うジャンルを手がけているので、そうすると、勉強しなきゃいけない。何でもやるから、早く決まっていた方がありがたい。

もちろん今は『寄生獣』のことをずっと考えているわけですが、そのことばかり考えていると、客観的な視点が得られなくなる。ですからその状況から逃げるわけです。そのときに何をするかといえば、違う映画のことを考えるのが一番いい。つねに先々の映画のことを考えているんで、指原さんの映画は作れないのです(笑)。

――現在進行中の作品に加えて、つねに次の映画が頭にあるということですか。

次の作品と、その次はどれにしようかなという複数の作品が常に頭の中にあるという感じですね。

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