目指したのは11月9日の福岡マラソン。レースのための本格的な準備(トレーニング)を始めたのは9月に入ってからだった。彼女たちの月間走行距離は10月で60~70kmほど(ちなみに9月は20~30kmほどしか走っていない)。気になる結果から先に教えておくと、以下の通りだ。
ちなみにフィニッシュタイムはほぼ狙い通りだった。実は5週間前にAさん、Cさん、Dさんの3人はハーフマラソンに出場したが、CさんとDさんは完全に自信を失っている。Cさんは辛うじて完走したものの2時間29分もかかり、Dさんは終盤に歩いたほどだった。
それでも、筆者は5週間後の本番ではキッチリ走れると思っていた。なぜなら、フルマラソンを想定通りのペースで走り切るための明確なプランを用意していたからだ。なぜ彼女たちは少ない練習量で結果を残すことができたのか。その“証明”をじっくりと解説したい。
42.195kmを分解して考えると楽になる
フルマラソンはご存じの通り、42.195kmという距離を走破しなければならない。それは簡単なことではないけど、難しいことでもない。東京マラソン(制限時間7時間)の完走率を見ると、例年96~97%台に到達している。まずこの事実を知っておくと少しは気持ち的に楽になるだろう。
そして、完走者の大半はトレーニングの段階では42.195kmを走ってはいない。マラソン本や雑誌などでは、「30km走をやっておこう」という記事がスタンダードということもあり、最長で30kmという人が多いと思う。しかし、単発の30km走はあまり意味がない。なぜなら30km走で脚を痛めてしまう可能性があるし、残り12.195kmを走るためのトレーニングが欠けているからだ。あるのは“頑張った感”だけで、レースにはなかなか結び付かない。
多くの情報が溢れている時代だからこそ、あれもこれもと詰め込んでしまいがちだが、冷静になろう。いきなり42.195kmを目指すと、その道のりは果てしない。そこでフルマラソンを分解して、さらにシンプルに考えるとマラソン攻略がグッと楽になる。
フルマラソンは「25km」+「15km」+「2.195km」で構成されていると考えてみよう。25kmまではペースをコントロールして進み、25~40kmの15kmはペースをそれほど意識することなく、楽に走ることだけに集中。ラスト2.195kmはフィニッシュタイムを意識してがんばる、というレースプランだ。
数回の40km走をこなして、月間1000km以上を走る実業団ランナーでも35km以降は失速することを考えると、月間で60~70kmほどしか走らないランナーが終盤までペースを維持するのは不可能だ。イーブンペースを目指しても、25km以降は徐々にペースダウンしていく。レースプランを立てるときにも、後半の“失速分”をあらかじめ計算しておけばいい。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら