まず彼女たちには25kmまでのトレーニングに集中してもらった。とはいえ、練習で25kmも走る必要はない。25kmを一定ペースで走るためには、そのペースよりも少し速いペースで15kmほどを走ることができれば、25kmまでスピードをコントロールして走ることができるからだ。
そこで、普段の練習から「ペース」を徹底的に意識した。例えば、6kmほどをゆっくりジョグしたあとに、1km走を1本を行った。この1kmではタイムを計測して、どれぐらいのペースで走っているのかを把握するのだ。全力で走るわけではなく、レース本番よりも少し速いくらいのペースでちょうどいい。
そして、レースの2週間前には本番の25kmまでを想定して、A・Bさんは約13km(キロ6分00秒~5分50秒)、C・Dさんは約12km(キロ6分30秒~6分20秒)の「ペース走」を行った。本番のペースを楽に感じられるようにレースペースよりも1kmあたり10~20秒ほど速く走り、「まだまだ走れそう」というくらいで切り上げる。この刺激を入れておくことで、本番でも同じような“感覚”で25kmまで走ることができるのだ。
当然、福岡を走った彼女たちはスタンダードな「30km走」はやっていない。その代わりに、レースの1カ月前に、ハイキングとロングジョグを組み合わせた「セット練習」を取り入れた。
土曜日のハイキングでわざと疲労させた状態を作り、翌日の日曜日に約14kmを走った。これは2日目のロングジョグが重要で、レース本番の25km以降の走りを想定している。レース2週間前のペース走も同様だが、人間は一度“刺激”を与えることで、同じような刺激が来ても大丈夫なように、筋肉が勝手にパワーアップしてくれる「超回復」を期待したトレーニングでもある。
本番ではシミュレーション通りの走りをするだけ
レース2週間前の「ペース走」で25kmまでの走りを、4週間前の「セット練習」で25以降の走りをシミュレーションした。あとは本番でその走りをするだけでいい。
A・Bさんは本番での目標タイムを4時間30~45分(4時間30分は平均キロ6分20秒ペース)に設定。レースは、①中間点まではキロ6分00~10秒(ハーフ2時間7~10分前後)で通過する。②25km以降はキロ6分40秒まで落ちてもOK。③35km以降はキロ7分00秒でもOK、というプランを立てた。
で、実際のレースではA・Bさんは中間点を2時間7分34秒で通過した。30km以降はペースダウンしたものの、それまでに“貯金”を十分に作ることができたので、Aさんは目標の4時間30分を悠々と切ることができた。
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