外食産業を喰い尽くす、3Dプリンタの破壊力 突然やってくるビジネスモデルの激変
システム社のシニア機械エンジニア、アンジャン・コントラクター氏によれば「この3Dフードプリンタは将来的に一般家庭の電化製品にもなり得る。人々はスーパーで“食材カートリッジ”を買い求め、家に帰って3Dプリンタを使って好きなように料理を製造できる」という。
また、スペインのナチュラルマシーンズ社も料理を出力できる3Dフードプリンタ「フーディニ」を開発中である。
たとえばピザを作る場合、生地がプリントされた後、ソースがプリントされる(ただし加熱などの調理は自分でする必要がある)。来年前半にも量産を始める予定で、価格は1000ユーロ(約14万円)になる見込みだ。
外食の定義が変わる
では、3Dフードプリンタは、外食業界にどのような影響を及ぼす可能性があるのだろうか。
技術革新が進み、料理を忠実に再現できる3Dフードプリンタが一般家庭に普及した場合、「家で食べられない料理を外に食べに行く」という動機が希薄になると考えられる。3Dフードプリンタさえあれば、自宅で食べたいものを自由に食べられるからだ。外食に行く動機が「食べるため」から、「上質なサービスを受けるため」に変化するかもしれない。外食店では料理の内容よりもサービスや雰囲気が重視される時代がやってくる可能性がある。
もちろん3Dプリンタで製造された料理ではなく、「きちんと人間の手で料理されたモノが食べたい」というニーズが残ることも当然予想できる。カートリッジに使われる素材に不安を感じ、人体への健康被害を心配する人も当然出てくるだろう。
また、料理そのものではなく、栄養素や香料などの配合情報である“レシピデータ”が売買の対象となり、外食産業・食品業界においてデータ売買が進む可能性もある。「どう作るか」はもはや価値がない。成分さえ分かってしまえば、自宅で高級フレンチ料理の味をも再現できるからだ。