「当社の主役は事業のトップやリーダーだ。経営陣は舞台を提供し、最大のパフォーマンスを出してもらうため、演出することが仕事」(峰岸真澄リクルートホールディングス社長、『週刊東洋経済』2014年11月1日号より)。リクルートの経営陣が用意したこの拠点を率いるのが、 Indeedシニア・バイス・プレジデント兼開発責任者であるダグラス・グレイ氏。リクルートのグローバル・IT展開を本気にさせた人物がグレイ氏とも言える。
筆者の質問に答えるグレイ氏のまなざしは、理知的で真剣そのもの。そして穏やかだ。その言葉にはいっさいの迷いがなく、ブレない信念と高い志を持っていることがひしひしと伝わってくる。一流のエンジニアとはかくあるべきだ、という答えをすでに手に入れているように見える。リクルートはIndeedだけではなくグレイ氏という救世主を手に入れたのだ。
グレイ氏は米国テキサス州オースティンにあるIndeedのオフィスで働いている。なぜ、リクルートの買収を受け入れたのか、グレイ氏はどんな未来を描いているのか、直撃した。
リクルート傘下で急成長する、東京部隊
――リクルートの傘下に入る選択をした理由は?
第1に、リクルートとIndeedのミッションが類似していたこと。われわれのミッションは非常にシンプルで、「職探しをしている人に、仕事を獲得する手助けをすること」。もちろん、リクルートのそれとは、まったく同じではないが、似ている。
2点目として、リクルートは、Indeedを大きなグループの一部として組み込み、システムの歯車に埋め込んで変えていくやり方ではなく、われわれが培ってきた手法や文化を非常に尊重してくれた。それぞれミッションがある中で、お互いのアプローチを尊重するやり方を考えてくれた。
――では、逆にお互いが持っていなかった点は?
Indeedが持っていてリクルートにはなかった特徴は、後ほどもう少し詳しく話すが、徹底してデータに基づいた「データドリブン」的なやり方で成長し続けているということ。われわれはつねにテストを行い得られたデータを基に、絶えずシステムをバーションアップし続けている。
逆に、リクルートは、われわれにはない非常に卓越したマーケティング能力を持っている。もちろんIndeedもネットでのマーケティングはある程度やっていたが、リクルートのレベルでのブランドマーケティングはやっていなかった。
――リクルートの傘下になり、Indeedは何が変わったのでしょうか。
いちばんの変化を挙げるなら、この東京オフィスの存在かもしれない。もともとIndeedは、東京に拠点を構える予定はなかった。が、結果として、現在、東京はIndeedのオフィスの中でも最大の拠点になりつつある。
東京オフィスは、非常に速いスピードで急速に成長している。つねにプロダクトのエンジニアリングに力を入れている。20人という人数からすると、仕事の量と速度は、非常に驚異的なものがある。どんどん人が必要なので、新しい人材を探している。来年の春に入社予定の日本人学生は、15人前後。2015年末までに、100人規模にする予定だ。
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