リクルートを世界へ導く、テキサスの救世主 知られざる、最先端グローバルIT企業の実態

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多くの企業では、エンジニアは仕事を与えられ、コードを書いている。それはもちろん大事だが、それだけでは十分ではない。今、自分がやろうとしている仕事は何のためにやるのか、これによって市場にどう役に立ち、世の中にどんな価値をもたらすのか。一人ひとりが、つねにそれを確認しながら、エンジニアという仕事にあたることが重要だ。

次に、“オーナーシップ(当事者意識)”が持てるか。先の“ビジネスの視点”とも似ている。自分のやっていることは、本当に必要なのか。間違いはないのか。もしかしたらほかにもっといい方法があるのではないか。つねに、自分自身がその仕事の“中心”となる“オーナーシップ(当事者意識)”という視点が必要だ。

最後に、チームに貢献できるか。われわれの仕事は、個人プレーではなくチームプレー。チームメンバーと協力でき、自分がどうすればチーム全体が最も有効に働くのかを考えながら動ける人かどうか。さらに、ほかのメンバーを指導できるいい“メンター”として、どこまで機能できるか、という点も評価の際のポイントになる。

Indeedでは、あなたがやっている仕事がどのように現実世界に結び付き、どのような変化をもたらし、どういったインパクトを与えることができるのか。ここを具体的な形で、毎日、提供するようにしている。たとえば、あなたが作ったこのサービスに1億5000万人の人が実際にアクセスしたんだよ、これだけの収益を生み出したんだよ、このサービスでほかの人の仕事のやり方がこんなに改善されたんだよ。そうしたことを、実際に目に見えて感じられる形で提供している。

リクルートは彼らを生かし切れるか?

グレイ氏の話を聞けば聞くほど、従来のリクルートにない色を感じる。そして、非常に高いレベルのIT技術とエンジニアとしての姿勢。

これまでリクルートは、クライアント企業の声を熱心に聞き、サービスを形にしてきた。しかし、それでは成長の限界にぶつかる。だからこそ、破壊的なイノベーションが必要になる。

その際のキーワードが、ITとグローバルだ。

連載4回目で登場したMTL(メディアテクノロジーラボ)所長の石山洸氏、Indeedのダグラス・グレイ氏も破壊的イノベーションの水先案内人を期待されているのだろう。はたして彼らがその役割を果たせるのか。はたまた、リクルートは彼らを生かし切れるのか――。

リクルートが激変するグローバル市場で生き残り、そして成長を続けられるかどうか。今後、彼らITの精鋭たちが 輝けるかどうかを見ていけば、その答えは出るだろう。

(撮影:風間仁一郎)

※この短期連載は今回で最終回となります
 

松浦 由美子 ITアナリスト

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まつうら ゆみこ / Yumiko Matsuura

ITアナリスト。

ITエンジニアとして半導体ウェハ検査装置の開発や原子力・ETCなどのインフラ制御系システムの開発、大手印刷会社のIT技術センター部門でセキュリティ関連のサービスや画像情報データベース、地図情報サービスなどのWeb開発に携わる。現在は、「ITからリアル世界への翻訳者」として、テクニカルな話題を一般読者にわかりやすく解説することをモットーに活動中。

著書に『O2O 新・消費革命 ネットで客を店舗へ引きつける』(東洋経済新報社、 2012.10)、『O2O、ビッグデータでお客を呼び込め!- ネットとリアル店舗連携の最前線』(平凡社新書、2014.1)、東洋経済オンラインにて「O2O ビジネス最前線」を連載中。

テレビのニュース番組やラジオ、講演など「O2O」に関する出演多数。
連絡先:松浦由美子公式ページ

 

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