中高の「部活至上主義」がいまだ根強い深刻な実情 テスト前にも「家でしっかり練習しろ」と熱血指導

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「中学、高校生は部活をするもの」という価値観は根強い(写真:筆者撮影)

「日本若者協議会」がスポーツ庁に提出した要望書が話題になっている。一部の中学や高校の部活動で、強制加入させる実態があるとして、部活動は任意加入であることの周知徹底などを求める内容だ。

数年前まで、筆者は野球部だけでなく、スポーツ系、芸術系などさまざまな高校部活を取材していた。学校側が推薦する部活指導者の案内で、その活動を取材するのだ。私立も公立もあったし、全国トップクラスの部もあれば、中堅クラスもあった。そうして取材した多くの部活指導者は「部活至上主義」の信奉者のように思えた。

定期考査前でも生徒に「家でしっかり練習しろ」

取材した多くの指導者は、元日とお盆以外のすべての日を部活にささげていた。ある球技の指導者は「最近は定期考査前は休め、と学校から言われるんですが、休むと元に戻すのに時間がかかるから、生徒には家でしっかり練習しろ、テストが終わったらチェックするからな、と言うんですよ」と忌々しそうに言った。

またある武道系の指導者は「私は結婚してから一度も家族旅行に行ったことがありません。新婚旅行だって2日目には帰ってきて部活の指導をしました。理解ある妻でよかった」と自慢げに言った。

さらにある公立校の陸上部の指導者は「ボーナスのたびにトレーニング器具を自費で購入して、学校に寄贈しています。私が寄贈した器具だけで、トレーニングジムができましたよ」と言った。

「公立校は転任があると思うのですが?」と聞くと、「それでもいいんです、次の学校でも同じように寄贈しますから」とすがすがしい表情で言った。そういう教員の大部分は、高校時代に同じような熱心な教員の指導のもと、部活中心の生活を送ってきた。「高校時代から恩師の先生のように高校教師になって、部活指導を思い切りやりたいと思っていたんです」とこれまた熱血風に語る先生に何人も出会った。

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