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「学研」社長が今、新入社員に求める「3つの素養」 「カマスの実験」が教えてくれた組織変革の要諦

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  • 宮原 博昭 学研ホールディングス代表取締役社長
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似たようなことは、神戸支社時代にも経験した。阪神・淡路大震災で被災し、不幸にも命を落とした学研教室会員だったお子さんの葬儀に参加したときのことである。ひつぎの中にはその子が生前愛用していた野球のグローブやバットが納められていて、その中に学研の図鑑があるのが目にとまった。

近づいてよく見ると、図鑑はぼろぼろになっている。震災の影響でそうなったのではなく、使い込まれてぼろぼろになっていた。ずっと大事に読み込んでくれていたのだろう。誇らしかった分だけ、悲しみも大きかった。

震災からの復興期には、私自身も苦しいこと、つらいことを幾度となく経験した。それでも頑張ることができたのは、私があのぼろぼろの図鑑に「学研魂」を見て、それが自分を支えてくれたからだ。

企業への誇りは縦糸、職種への誇りは横糸

私は企業の魂というものは、自社に対する誇りと、1人ひとりの社員が携わる職種への誇りの2つから成り立つものだと考えている。

たとえば編集者なら、何が何でもこの本、この作品を世に問いたいと思う「編集者魂」を心に持つべきだし、塾や教室の運営者なら、子どもたちの未来を思う「教育者魂」を持たなければならない。

同様に、「介護魂」や「営業魂」だってあるはずだ。どんな職種であろうと「絶対に譲れないもの」を持って、自分が誇りにしている魂を磨き上げていくことしか、商品・サービスの価値を永続させる道はないと知ってほしい。

たとえて言うなら、企業への誇りが縦糸であり、職種への誇りは横糸である。どちらも太い糸に育て上げることにより、今の時代に合った学研魂が紡がれていく。

『逆風に向かう社員になれ』(学研プラス)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

どんな企業も、売り上げや利益は未来永劫、右肩上がりになっていくわけではない。学研はすでにどん底を経験しているが、これからも順調な時期ばかりではなく、大小の苦況に直面するのは間違いないだろう。

しかしこの「魂」があれば、その魂のもとで団結し、どんな難局にも勇気を持って立ち向かうことができるはずだ。それが変化に対応できる、本当の意味で「強く賢い会社」なのだと思っている。

魂を持っている人、魂を持っている企業は強い。そのことを忘れないでほしい。

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