「学研」社長が今、新入社員に求める「3つの素養」 「カマスの実験」が教えてくれた組織変革の要諦

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私が今、新入社員に強く求めるビジネスの素養、その2つ目は「成長のための貯金をする」ということだ。

たとえば新しい仕事にチャレンジするためには、自ら企画を出し続けることが肝心だ。1つの事業を成功させるためには、外部環境を分析して企画を厳選し、より可能性の高い取り組みから着手していく必要がある。

ただし、厳選するにあたっては、箸にも棒にも掛からないようなものも含めて、さまざまな視点を備えた膨大な数の企画が上がっていることが前提となる。

100本の企画から1本に絞るのと、10本の企画から1本に絞るのとでは、厳選の度合いがまったく違う。もちろん数さえあればいいという話ではないが、「こんな企画はどうせ無理」「うちの会社では許されない」などと勝手に判断してあきらめるのではなく、まずはたくさんの企画を出してほしい。

そしてベテラン社員たちも、新人の誰がどんな提案をしても否定したり馬鹿にしたりすることのないよう、職場に心理的安全性を担保する必要があるだろう。

若いときの失敗は「将来の貯蓄」

一方で、20代、30代の若手の企画が簡単に通らないのは当たり前である。その企画のクオリティーは本当に採用の基準に達しているのか、それを客観的に検証しなければならない。そして、たとえボツになってもあきらめず、そこからもっといい企画にブラッシュアップすることを考えればいい。

たとえボツになったとしても、頭を絞って企画を考え続けたその経験は決して無駄にならない。若いうちに考えた企画が、経験や知識、人脈や度胸が身に付いた30代や40代で、かたちを変えて実現することはよくある話だ。

つまり、若いときに企画を立てることは「成長のための貯金」のようなものだ。

やはり、若いうちに企画の種をどれだけストックできるかが、その後の成長のカギとなる。頭が柔らかく、行動力も吸収力も抜群の若手社員には、若さというアドバンテージがあることに気づいてほしい。

企画の創出に限らず、結果を出すためには人と積極的にコミュニケーションを取って学ぶ姿勢が欠かせない。こうした姿勢を持ち続けることも「成長への貯金」ということになる。

もっともそのコミュニケーションについては、私が若い人たちに教えるようなことはあまりない。新入社員の挨拶などを聞いていると、誰もが驚くほど上手に話をする。その点については、今の若者は鍛えられていると感心する。

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