「格差をリセット」する教育本来の機能を取り戻せ 橋爪大三郎氏に聞く「大学システム改革論」前編

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貧富の格差で「受けられる教育」が決まってしまう現状は、個人にも国家にも大きなマイナスとなる「2つのエラー」を生み出すと言います(画像:CORA/PIXTA)
GAFAの強さの秘密を明かし、その危険性を警告した書籍『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』は日本だけで15万部のベストセラーになり、日本に「GAFA」という言葉を定着させた。
その著者スコット・ギャロウェイ教授の最新作『GAFA next stage 四騎士+Xの次なる支配戦略』も6万部のベストセラーになっている。本書では、コロナ禍でますます肥大化したGAFAや、この4社に匹敵する存在になるだろう「+X」の巨大テック企業が再び、世界をどのように創り変えていくかを予言している。
著者のギャロウェイ氏はGAFA+Xの「最大の獲物」として「大学」を挙げている。日本の大学教育のあり方に危機感を持ち、警鐘を鳴らしてきた社会学者の橋爪大三郎・東京工業大学名誉教授に、これからの「大学のあるべき姿」を聞いた。その前編をお届けする。
後編:「大学入試を廃止」今こそ本気で考えるべき理由

貧困とはどういう意味なのか

いまの社会は、貧富の格差が拡大し、多数の犠牲の上にひと握りの人がマネーゲームをしているという実態があります。踏み台になっている人びとのことを考えずに、「私はこれだけ儲かりました」などと自慢している。

『GAFA next stage 四騎士+Xの次なる支配戦略』は、6万部のベストセラーになっている(書影をクリックするとアマゾンのページにジャンプします)

『GAFA next stage』は、著者のスコット・ギャロウェイさん自身が、子供時代に貧困だったことを紹介しています。

彼は、母子家庭の出身でした。ある冬、母親が、暖かいコートを買ってくれた。彼はうっかり、それを体育館に忘れた。取りに戻ったが、もうない。母親の1日分の給料に匹敵する買い物だったのに。仕方なく、もう一着買ってくれた。ところが忘れっぽい彼は、それもなくしてしまった。

さすがにまずい。母親に詫びた。「コートなしでもボク平気だよ」と強がった。怒られると思ったら、母親は大声で泣き出した。ひとしきり泣いて、そのあと彼の脚を、テーブルでも叩くようにゴンゴン何度も叩いた。そして以後、二度と上着の話はしなかった。

このときほど辛かったことはないと著者は言う。貧困だと、ちょっとしたことで取り返しのつかない打撃を家族が受ける。

ある程度収入があれば、上着をなくしたぐらいでダメージはない。でも、ギリギリの生活だと、それが致命傷になる。教育や医療や食事や睡眠時間や、生活の基本的なところを削って生きて行く。それが貧困だ。その現実に目を向けない議論がまかり通っていることに、著者は怒っている。

起業家でバリバリのMBA教授である著者だが、ただのギョーカイ人ではない。経済の不正に対する厳しい目がある。

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