日本人が知らない「幼児教育」が年収に与える影響 生後1000日間の教育が知能発達の鍵を握る

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幼少期の教育が、知能の発達や成人後の年収に影響を与えるようです(写真:Kazpon/PIXTA)
親は子どもに最高の教育を施したいと願うものだが、この社会では親の経済力が子どもの学力を左右すると、多くの人が感じている。しかし、世界が注目する経済学者のミノーシュ・シャフィクは、人生に最も大きな影響を与えるのは、「社会契約」であり、社会契約を是正し、国が幼児教育に投資すれば、誰もが平等なスタートラインに立ち、将来の高い収入を期待できるという。私たち人間がつくった社会契約は、私たち人間がつくりかえることができるはずだ。今回、ミノーシュ・シャフィク氏の著書『21世紀の社会契約』から、一部抜粋・編集のうえ、お届けする。

脳の発達に重要な3歳までの時期

最近の調査からは、子どもの誕生から最初の約1000日間が、認知的発達および学習能力のためにいかに重要であるかが示されている。

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3歳になるまでのこの時期に、脳の発達は栄養や精神的刺激に大きく影響され、のちの学習の土台になる社会的・情緒的な発展が遂げられる。この時期の重要性は、生後間もなくそうした機会を奪われた──たとえば、家族にではなく孤児院で育てられた──子どもたちを観察した数多くの研究から明らかになっている。

肉体面や認知面、そして言語面や社会的な面や情緒面での発達が遅れた子どもは、学業が振るわず、留年し、ドロップアウトする確率が高く、生涯にわたって健康問題に悩まされやすく、大人になっても高リスクな行動をとったり低賃金に苦しんだりしやすい。

発達の早い段階で介入を行うことは、健康面、教育面、経済面の成功のために、持続的な影響を与えることがわかっている。

だが、そうした取り組みの度合いは、世界の国々でかなり差がある。それは、多くの社会では、そうした早期の教育が社会契約の一部ではなく家庭の責任と見なされているからだ(後で見ていくように、こうした状況は変わっていく必要がある)。

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