フランスで、年金の支給開始年齢を62歳から64歳に引き上げる政府案に対して、抗議活動が激化している。人類の長寿化や国の財政状況の悪化が進むなか、年金改革を進める道はあるのか。ロンドンの一流大学LSEの学長も務める経済学者シャフィク氏の著書『21世紀の社会契約』から、年金改革がなぜ難しいのかを、抜粋・編集して紹介する。
私たちが老いた後の2大問題
私たちはみないつか(幸運であれば)老境に至る。そして老いるにつれ、2つの大きな問題に直面する。
1つは、もう働けなくなったときに、経済的に生活をどう支えるかという問題。
もう1つは、自立した生活を送れなくなったときに、だれにどうやって面倒を見てもらうかという問題だ。
おおかたの社会は、年をとって働けなくなった人や自分の面倒を見られなくなった人が、それでもなんとか生活を送れるように最低限のレベルの支援をするべきだと考えている。
社会契約についてのあらゆる面と同じように、ここでも重要な問題になるのは、老いにまつわるリスクをいかに個人と家庭と社会と、さらには市場とで分けあうべきかという点だ。
だが、社会契約のほかのどんな側面よりも老後の計画が難しいのは、自分がどれだけ長く生きるのか、どれだけ健康的に生きられるかはだれにもわからないからだ。
・社会は個人に対してどのくらい、退職後の生活と世話を引き受けるべきなのか?
・年金の受給資格を手にするには、人はどのくらい長く働かなければならないのか?
・老いた人々が極貧にならないように社会は最低限の所得を提供するべきなのか?
・高齢者の世話と人生の終わりのケアを、人間的にも財政的にも持続可能な方法で組織するにはどうすればよいのか?
・年金の受給資格を手にするには、人はどのくらい長く働かなければならないのか?
・老いた人々が極貧にならないように社会は最低限の所得を提供するべきなのか?
・高齢者の世話と人生の終わりのケアを、人間的にも財政的にも持続可能な方法で組織するにはどうすればよいのか?
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