脳の発達に重要な3歳までの時期
最近の調査からは、子どもの誕生から最初の約1000日間が、認知的発達および学習能力のためにいかに重要であるかが示されている。
3歳になるまでのこの時期に、脳の発達は栄養や精神的刺激に大きく影響され、のちの学習の土台になる社会的・情緒的な発展が遂げられる。この時期の重要性は、生後間もなくそうした機会を奪われた──たとえば、家族にではなく孤児院で育てられた──子どもたちを観察した数多くの研究から明らかになっている。
肉体面や認知面、そして言語面や社会的な面や情緒面での発達が遅れた子どもは、学業が振るわず、留年し、ドロップアウトする確率が高く、生涯にわたって健康問題に悩まされやすく、大人になっても高リスクな行動をとったり低賃金に苦しんだりしやすい。
発達の早い段階で介入を行うことは、健康面、教育面、経済面の成功のために、持続的な影響を与えることがわかっている。
だが、そうした取り組みの度合いは、世界の国々でかなり差がある。それは、多くの社会では、そうした早期の教育が社会契約の一部ではなく家庭の責任と見なされているからだ(後で見ていくように、こうした状況は変わっていく必要がある)。
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