サーモンが5分で「本格蒸し物」電子レンジの凄技 蒸し器を用意しなくても完璧に仕上がるワケ
逆に電子レンジは大きい分子や、あまり動かない分子―――例えばタンパク質やデンプン――は苦手です。意外かもしれませんが凍っている水分子は動かないので、冷凍された食べ物を熱するのも得意ではありません。原理を知れば電子レンジに向いている食材は水分の多い野菜や魚介類、ということになります。水分子を加熱するわけですから、食品に水分が多いうちは温度が100℃以上にはなりません。つまり、焼くことはできず、蒸した状態に近くなります。こうした電子レンジの性質を理解すると料理の幅が広がります。
水分含有量の多い野菜や果物はレンジで調理すると栄養素の損失も少なく、色もきれいに仕上がります。加熱が短時間に抑えられるからです。また、電子レンジで加熱するとペクチンが水溶化しないため、歯ごたえがいい、という特徴もあります。
レンジでサーモンの清蒸
清蒸(チンジョン)は中国風の魚の蒸し物のこと。蒸し器を用意しなくても、電子レンジを使うと短時間、かつ完璧に仕上がります。味の決め手はナンプラー。醤油でもいいのですが、ぐっと本格的な味になります。ちなみに「清」は「あっさり」という意味で、健啖家として有名な作家の開高健が好んだ料理としても知られています。
魚の蒸し物にはハタやイシモチなど白身魚を使うことが多いですが、いずれにしても脂の多い魚が向いています。今回は入手しやすいサーモンを選びました。
レンジ調理で注意したいのは加熱のしすぎ。野菜を料理したときのように余熱の蒸らしを上手く使うと、加熱した後、油を熱している30秒から1分ほどのあいだに火が通るはずです。箸や包丁などで身をつついて、色の変化などで火の通り具合を確かめます。身がフレーク状に剥がれる手前くらいがベストです。
魚は思っているよりも火の通りが早い食材。肉のタンパク質は60℃前後でいい具合に火が通りますが、魚の場合は45~50℃くらいから固まりはじめます。魚は熱いお風呂くらいの温度から火が通りはじめることを頭に入れておくと、魚料理はぐっと上手になります。
レンジ加熱は「蒸す」料理なので、香ばしさが出ません。そこで仕上げに熱く熱した油を回しかけて、香りを出します。油はかなり熱いので火傷に注意してください。
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