クラシック鑑賞「最前列がいい」と限らない深い訳 2階席や3階席のほうが実はお得なケースも

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まずは、東京・赤坂にあるサントリーホール。日本のクラシック音楽の殿堂とも呼べる格式高いこのホールが開館したのは、1986年。ちょうどバブル経済の絶頂期です。

室内楽を中心に演奏活動をしているため、私自身がここの大ホールで演奏した経験は2、3回ほどしかないのですが、世界中の有名音楽ホールの音響を手がけている永田音響設計の豊田泰久氏が手がけたホールの音の響きは極上。パイプオルガンを備えた荘厳なホール内の雰囲気は、一度は体験して損はないと思います。

現在は一般向けのコンサートホールとしては使用されていないのですが、カザルスホール(現・日本大学カザルスホール)も好きなホールでした。

建築家の磯崎新氏の設計によるホールは、スペイン出身の著名なチェロ奏者、パブロ・カザルスの名を冠したホール。日本初の本格的な室内楽用ホールとして長く演奏家や観客に愛され、小規模ながらパイプオルガンも備えられていました。

ホールの位置にかつて宮澤賢治の定宿があった

余談ですが、自らチェロも嗜んだ宮澤賢治が上京時に定宿とした宿がこのホールの位置にあり、彼の部屋はちょうどオルガンのあたりだったとのことです。

ホール自体もすばらしかったのですが、カザルスホールには演奏会をプロデュースする組織があり、有望な若手を起用した独自の演奏会を企画し開催していたのがユニークな点でした。

その企画室でプロデュースを手がけていたひとり、箕口一美さんは、現在、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻の准教授として、アートマネジメントを教えています。

比較的小規模なホールで好きなものの1つが、東京の渋谷区富ヶ谷にあるハクジュホール。医療機器などを手がけるメーカーが運営するホールは、リクライニングシートを導入した世界初のコンサートホールで、心身ともにリラックスしながら音楽を楽しめる仕組みになっています。また、室内楽にピアノ、声楽のリサイタルに、子どものヴァイオリンコンクールを主催するなど、充実したプログラムでも知られています。

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