インドでは、1991年の一連の経済改革を受けて、コンピュータとソフトウエアの市場は、輸出・輸入ともに開放された。その際、ソフトウエアの輸出には課税されなかったため、大きな利益を得られる事業領域だった。これを機に、インフォシスはそれまで以上に急速な成長を始めた。ムルティ氏は、米国に参入し、現地の企業向けにサービスを提供することを望んでいた。
コストと品質が認められ、米国での顧客が増加したことで、インフォシス・テクノロジーズは1999年3月にナスダックに上場。現在でも、収益の約3分の2は米国の法人顧客へのサービス提供からもたらされている。
1980年代初期に、インフォシスは、新しいビジネスモデルをほかに先駆けて作り出した。インドでソフトウエア開発を行い世界中の企業に届ける、という「グローバル・デリバリー・モデル」だ。これにより世界中のあらゆる時間帯で費用対効果の高いサービスを実現した。
このビジネスモデルは、過去20年間にわたってインドのソフトウエア部門を大いに促進した。「2000年問題」によって大量のプログラミングの機会が発生した際は、インフォシスにとって大きな追い風になった。多くの米国企業が、低賃金で教育レベルの高い労働力を提供できるインドに、自社のソフトウエア開発およびバックオフィス業務を移転し始めたためだ。
6年程で収益は約10倍に
インフォシスは、このチャンスをつかみ高品質のソリューション事業を開始。1999年から2005年までの間にインフォシスの収益は約10倍になり、ITソリューションの提供者として世界中で支持される存在になった。
同社が重視しているのは人材だ。優秀な人材を継続的に採用しており、世界規模の人材のプールを持つ。インド全土のさまざまな経歴の人材を採用し、新卒採用や業界からの中途採用を含めて優れた人材を集めている。インフォシスは、多くの場合インドのビジネススクールや工科大学における「人気就職企業」だ。
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