日本代表・遠藤航「世界で活躍できる人材の条件」 ドイツで「日本人らしさ」を大切にするワケ

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「もともと僕はそんなに緊張するタイプではないし、メチャメチャプレッシャーを感じることもない。一生懸命背伸びしてこのキャラクターを作り上げているわけじゃないってことがすごく大事なんです。ムリしてキャラ作りをしてしまったら、最終的に自分を苦しめることになりかねませんから。

僕の場合は小学校の頃からキャプテンをやっていますし、中学も高校も湘南ベルマーレでプロになってからもずっとそうだった。何となく自分の立ち位置がわかっているから、自然体になれる。大事な試合も『自分がやるべきことをしっかりこなしてきたからたどり着けた』と思えば自信が持てる。そういうマインドでシュツットガルトの試合にも挑んでいるので平常心で戦えますね」

彼のアプローチは世界舞台を目指すビジネスパーソンにも大いに参考になる。多様化する社会の中で、周りの空気を読み取りながら、他者との相互理解を深めつつ、言うべき意見は明確に主張し、積み上げた仕事の成果を発揮することができれば、遠藤のような傑出した存在になれるはずだ。

「最適解探し」の重要性

こういった人生観や世界観、サッカーを取り巻く環境の変化、戦術やスタイルなどさまざまなテーマを多くの人と語り合いたいと遠藤は熱望している。それを具現化すべく、昨年11月には「月刊WATARU ENDO」をコンテンツプラットフォーム「シンクロナス」のサイト内に立ち上げた。有料ではあるが、彼とダイレクトなディスカッションのできる貴重な場。双方向のコミュニケーションから得られるものは多いだろう。

「サッカーもそうですけど、何事にも正解はない。僕は『最適解探し』と言っているんですけど、なぜこうなったのかを議論することは非常に大事だと思うんです。そういうのが日本にはまだまだ少ないと思うし、僕がハブになってそういう機会を増やせたら理想的。ぜひ興味を持ってもらえたらうれしいです」

世界に名を馳せるトップ選手でありながら、一般人の感性を忘れない遠藤航。親しみやすいキャラクターの彼にはまず日本代表のカタールW杯出場決定に尽力し、世界への道を切り開いていってほしいものである。

元川 悦子 サッカージャーナリスト

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もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

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