日本代表・遠藤航「世界で活躍できる人材の条件」 ドイツで「日本人らしさ」を大切にするワケ
年齢に関係なく相手を1人の自立した人間として対峙するというのは、遠藤家の教育方針でもある。父・周作さんからそう育てられた遠藤は4人の子供たちにもガミガミ叱ったり、指図したりはしない。コロナ禍で学校が休校になっていたときにはゲームをしすぎる長男に対して「どうしたもんか」と悩みはしたが、「最終的には彼次第」と割り切って見守った。自分の子どもだろうと、チームメートだろうと、人の考えはなかなか変えられない。だからこそ、まずは聞く耳を持って接し、理解を深めていくことが肝心なのだ。
「とはいえ、欧州に来て思うのは、やはり自分の意見は言ったほうがいいということ。日本人は気を使いながら遠まわしに言うとか、中間管理職を経由して上司に伝えてもらうといった形を取るケースもありますけど、海外だとそれでは伝わりづらい。堂々と発言しないと生き残っていけないとみんなわかっているから、そう振舞っている。僕も自分の言葉で言えるようにはなってきていますし、代表に戻ったときも、森保さんやチームメートと戦術や戦い方について、真正面から意見交換しています。
ただ、自分はドイツ語があまりしゃべれないのが課題ですね。英語で意思疎通を図っていますが、それもインタビューとかで意見を明確に伝えられるほどの語学力はまだない。そこは1つの課題ですし、語学学習を習慣化する必要があるなと自覚しています。やはり日本人が国際舞台で活躍しようと思うなら、言語は必須。そこも1つ強調しておきたい点ではありますね」
「どんな大舞台でも動じない安定感」
こうした人間力の部分に加えて、もちろん仕事で結果を残すことは成功への絶対条件。遠藤の場合、2018年夏に赴いたベルギー1部・シントトロイデンで目覚ましい成果を残し、2019年夏にドイツ2部(当時)のシュツットガルトへステップアップした。
最初は出場機会に恵まれずに苦しんだが、デュエルの強さや攻守両面でのアグレッシブさ、クレバーさ、戦術眼などを高く評価され、1部昇格の原動力となった。そして前述のように2020-2021シーズンからは「デュエル王」として一目置かれるようになっている。
こうして地道にキャリアを積み重ねた結果、「どんな大舞台でも動じない安定感」が養われた。今回の最終予選で日本が序盤3試合で2敗を喫し、カタールW杯行きに黄色信号が灯ったときも「メンタル的にはまったく変わらなかった。どんな結果でも受け入れる覚悟があったんで」と言い切る。その強心臓ぶりはチームの拠り所となった。
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