日本代表・遠藤航「世界で活躍できる人材の条件」 ドイツで「日本人らしさ」を大切にするワケ

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「僕がなぜ指名されたかを考えてみると、一番は『日本人らしさ』だと思うんです。普段の練習や試合にのぞむ姿勢や立ち振る舞い、フォア・ザ・チーム精神など、試合をやっているだけではわからない部分を監督や他の選手が認めてくれたのかなと。自分も『ザ・日本人』みたいな性格ですけど、そのキャラクターを明確に示せたのも大きいと感じます。

例えば、外国人ってミスをしてもあまり謝らないんですよね(苦笑)。日本人はパスをミスした時には『俺のミスだ。ごめん』って言うけど、外国人は『なんでお前、そこにいないんだ』という感じ。彼らの主張する部分はすごく大事なメンタリティです。ただ、やっぱり自分は日本人であり、潔くミスを認め、いかにしてカバーするかを第一に考える。そうやって献身的にやることで、『遠藤はミスを人のせいにしない』ってわかってもらえるし、考え方がみんなに伝わっていくんです。

自分は日本人らしさを出し、そのうえで他者の考えや姿勢も可能な限り、受け入れる。そうやって相互理解を深めていくことが、いい組織を築いて、機能させていく重要なポイントだと僕は考えています」

寝坊や遅刻が多い17歳への遠藤航の向き合い方

異なる民族や文化を持つ人間たちを尊重し、彼らの意見を聞きつつ、自分の考えを伝えていく作業はそう簡単なことではない。キャプテンとなれば、不振にあえぐ仲間やヤンチャな若手選手の面倒を見るといったサポートも求められてくる。ただ、そういうことも、押し付けになれば、相手に拒否されかねない。そこで遠藤はまず周囲を見渡し、状況を把握することを心がける。組織の空気感や選手同士の関係性などを察知しなければ、的確な対応ができないからだ。

「先月も寝坊や遅刻が多すぎて2週間ほどセカンドチームに行かされた17歳の若手がいました。日本人の自分だったら『17歳でトップチームに呼んでもらえるなんてものすごいチャンス。目の色を変えてアピールしてやる』と思うのに、なぜそんなことをするのか不思議ですよね。

だからといって、戻ってきた彼にいきなりストレートに聞いたりはしません。まず様子をうかがう。フランス語を話せる人間がほかにいますから、彼らが何かしらしゃべるでしょうし、そうやって周りの動きを見るところから始めます。僕はキャプテンだけど、彼の人生を背負っているわけじゃない。すべては彼次第だと思って向き合いますね」

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