安倍政権が選挙に勝っても、日本は疲弊する 衝撃のGDPは、過度な円安誘導政策の結果

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先進国も新興国も例外なく、どの国においても、中小企業が雇用の中核を担っています。日本でも雇用のおよそ7割を中小企業が占めているので、中小企業が豊かになる政策を考えなければならないのです。

円安が10円進むごとに中小企業は1兆3000億円の減益

みずほ銀行産業調査部の推計では、円安が10円進むごとに、上場企業は2兆円の増益になるが、中小企業は1兆3000億円の減益になるということです。安倍政権発足後、30円の円安が進んだところで、日銀の追加緩和によりさらに円安が進んでいるので、大企業と中小企業の格差はいっそう拡大することになるでしょう。

ただでさえ現状では、円安を受けたコスト上昇による倒産が増えてきています。とりわけ、今年の8月から円安が急激に進行したために、原材料高に耐えきれなくなり、円高倒産する中小企業が増えているのです。

ここで注意すべきは、決して中小企業の倒産件数だけで、事の深刻さを判断してはいけないということです。倒産件数よりも廃業件数のほうが、件数自体も多いし、増加基調に拍車がかかっていると考えられるからです。双方の件数を合計して、初めて中小企業の実状が把握できるのです。

日本の経済構造の変化に合わせて、「行き過ぎた円高」または「行き過ぎた円安」の水準は変わってくるはずです。政権や日銀はそのことをしっかり考慮に入れて、経済政策や金融政策を決めていかなければならないのです。

中原 圭介 経営コンサルタント、経済アナリスト

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なかはら けいすけ / Keisuke Nakahara

経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。企業・金融機関への助言・提案を行う傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に努めている。経済や経営だけでなく、歴史や哲学、自然科学など、幅広い視点から経済や消費の動向を分析しており、その予測の正確さには定評がある。「もっとも予測が当たる経済アナリスト」として評価が高く、ファンも多い。
主な著書に『AI×人口減少』『これから日本で起こること』(ともに東洋経済新報社)、『日本の国難』『お金の神様』(ともに講談社)、『ビジネスで使える経済予測入門』『シェール革命後の世界勢力図』(ともにダイヤモンド社)などがある。東洋経済オンラインで『中原圭介の未来予想図』、マネー現代で『経済ニュースの正しい読み方』、ヤフーで『経済の視点から日本の将来を考える』を好評連載中。公式サイトはこちら

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