「12人の養子を迎えた女性」の息子が語る母の教え 理想郷作ったジョセフィン・ベーカーの生き様

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最初のステップは、心理学的評価を受けた後、「同意書」を受け取ることです。

その次に、養子縁組希望者はフランス国内の養子縁組か、海外の養子縁組を選択します。国際養子縁組の場合は、選択した国の行政上の裁定や審判を受ける必要があります。法律は国によって異なるため、条件を知ったうえで国を選ぶことが重要です。養子縁組を組みたい人は、子どもと信頼関係を築くために、1回から数回、時に数週間の時間を設けて子どもに会いに行きます。

こうして数々のステップを経るわけですが、実際に子どもを家族の一員として迎える日まで10年近くの時間がかかります。子どもの年齢によっては、言葉や適応性の問題が生じることも。また、親になった人には、フランスだけでなく、養子の出身国の法律も尊重することが求められます。

養子縁組については、子どもの人生のある時点で養子だという事実を伝える選択肢があります。生物学上の親はもちろん養子縁組の同意書に署名する必要があり、場合によっては、養子が大人になって自分の出自を知りたいと思ったときに見つけられるような情報を残すこともできます。

子どもによって養子であることを知るのがトラウマになる場合もあれば、プラスになる場合もあります。フランスでは今のところ、養子になったことに伴う精神的な変化についての研究は行われていませんが、ゆくゆくは必要になるかもしれません。

異なる背景を持つ子たちでも家族になれる

近年の有名な国際養子縁組のケースといえば、アンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットでしょうか。彼らも小さな「虹」と言える家庭を作りました。ただし、彼らの場合、養子が3人(カンボジア、ベトナム、エチオピアより)、そして3人の実子がいます。

もっとも、世界的に見ると、国際養子縁組はここ数年減少傾向にあるといいます。養子になる子どもの代弁者がいない、あるいは、出自がわかりにくくなる、といった課題も指摘されています。近年では国際養子縁組で海外に渡った韓国人が祖国へ戻る動きがあったりと、養子のアイデンティティの問題も看過できません。

それでも、アキオは自分が育った環境をこう評価します。「私たちは、異なる背景を持つ子どもたちが家族になれるという『証拠』だったはずです。私たちは自分たちが普通の人間だと思っていました。私には黒人の兄弟がいます。それは事実です。でもだから何だと言うのでしょう?」。

アキオはこうも続けます。「例えば、白人と黒人の子どもを一緒にさせると、彼らはまずお互いの肌の色の違いに気がつきますが、その後は『一緒に遊びたい』『友達になりたい』と思うようになります。問題を起こすのは大人なのです。ママンは大人が『カラーフォビア(有色人種差別)』の原因だということを示したかったのです」。

ドラ・トーザン 国際ジャーナリスト、エッセイスト

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Dora Tauzin

フランス・パリ生まれの生粋のパリジェンヌ。ソルボンヌ大学、パリ政治学院卒業。国連本部広報部に勤務ののち、NHKテレビ『フランス語会話』に出演。日本とフランスの懸け橋として、新聞・雑誌への執筆、テレビ・ラジオのコメンテーター、講演会など多方面で活躍。著書に『フランス式いつでもどこでも自分らしく』『パリジェンヌはいくつになっても人生を楽しむ』『好きなことだけで生きる』などがある。2015年、レジオン・ドヌール勲章を受章。公式ホームページはこちら、 Facebookはこちら

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