子どもに「向精神薬」を飲ませた親の深い後悔 成長過程の脳への長期的な影響はわかってない

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「今日はお薬を飲ませていますか。最近イライラしている様子ですよ」
「お薬を飲んでいないときは口調が荒い。お薬を飲んでいると穏やかです」

そうした言葉が中学校の連絡帳に書かれていた。「やんわりと『薬を飲んで来てください』ということです」と吉田さんは振り返る。

「学校に迷惑をかけてはいけない」と感じた吉田さんは、通学する平日だけは、薬の飲み忘れがないように気をつけるようになった。毎朝、「薬飲んだ?」と娘に確認するのが、いつしか親子の習慣になっていた。

「飲んでないと、自分が許せない」

娘に変化が起きたのは、高校生になった頃からだ。「コンサータを飲まない日は眠くてしかたがない」。そう娘が言い出した。

「娘は『コンサータを飲むとシャキッとする。飲んでいないと授業中に居眠りをしてしまって怒られる』と、自分から進んで飲むようになりました」

高校卒業後は、障害者向けの生活訓練、続いて職業訓練に通った。その頃からコンサータが手放せなくなった。娘は、「飲んでないと、自分が許せない」と言うまでになった。

「倒れるくらい眠くなり、気だるくなるみたいで。飲み忘れたと思ったときは、『お母さん、薬飲んだかな?』と、泣きながら家に電話してくれるようになりました」

こうしたことが何度も続いたことから、予備の薬を常に携帯し、飲み忘れたときは外出先で飲むようにした。現在、企業の障害者雇用枠で働いている娘は、毎日欠かさずコンサータを飲んでから職場に行く。薬を飲んでいないときは、「お昼くらいまで集中できず、眠くてしかたがなくなる」という。

コンサータに加え、リスパダールも毎晩飲んでいる。吉田さんは、娘が訴える激しい眠気は長年薬を飲ませ続けている影響ではないかと不安になった。薬を減らせないかと医師に相談すると、医師はむっとして、「お母さんがそうしたいなら、そうすればいい」と言われた。

結局、娘と話し合い、仕事が休みの日は薬を飲まないことにした。吉田さんは今も、「最初に薬を飲むきっかけをつくったのは私だ」と自分を責め続けている。

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