第1回
学校から薬を勧められる発達障害の子どもたち
第2回
子どもに「向精神薬」を飲ませた親の深い後悔
第3回
低年齢の発達障害、薬で隠される子どもの危機
「私が『薬を飲みたくない』と愚痴ると、養護教諭から『発達障害の子は薬を飲んだほうが生きやすくなる』と言われました」
通信制の大学に通う加藤詩織さん(21歳、仮名)は、中学生のときのことをそう振り返る。現在、薬を減らせないことに悩む加藤さんは言う。
「薬だけ飲んでも生きやすくならない。応急処置のようなもの。根本的な問題が解決しなければ意味がありません」
加藤さんがそう話すのは、学校での忘れられない経験があるからだ。
担任から毎日のように怒られた
加藤さんは7歳のとき、発達障害の1つとされるアスペルガー症候群と診断された。集団に入れない、人と目が合わせられないと周囲から指摘された。小学3年生のとき、担任になった教師から毎日のように怒られるようになった。
加藤さんは教科の得意、不得意の差が激しかった。苦手な算数の授業の時は毎回指名され、教室の前に立たされてはできないことを責められた。加藤さんが発達障害と診断されていることを、教師は知っていてのことだ。
「担任がやるなら、自分たちもやっていいんだという感じ」で、同級生からのいじめも始まった。「言葉がつまったりどもったりすると、それを先生にも同級生にもバカにされました。『人間じゃない』『気持ち悪い』と言われ、突き飛ばされたり机を離されたりもしました」
4年生のとき、特別支援学級に移ったが、同級生からのいじめはひどくなるばかりだった。部活に入ると、「○○学級(特別支援学級の名前)のくせに」と言われるようになった。上靴に画鋲をびっしり詰められる、画鋲で体を刺される、階段から落とされるといった暴力も頻繁に受けた。
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