対ロシア強硬に大転換「ドイツ」に日本が学べる事 控えていた武器供給を決断し、軍事費も倍増

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ロシアに対して強硬姿勢へと転じたドイツのショルツ首相(写真:Liesa Johannssen-Koppitz/Bloomberg)

ショルツ首相は2月27日、ドイツ議会で同国の国防・エネルギー安全保障戦略の大転換につながる演説を行い、予想外にも議場内の与野党議員ほぼ全員が拍手喝采した。

その内容はウクライナ危機を受け、最も躊躇していたロシアからの天然ガスを供給するパイプライン「ノルドストリーム2」の承認を中止し、当初は控えていた兵器の供給に踏み切り、軍事費をほぼ倍増することを表明するものだった。

当初はヘルメット5000個供与と表明してひんしゅく

ウクライナ危機において、ロシアに対して欧州の中で強硬な態度を最も控えていたのがドイツだった。武器供与はしない代わりにヘルメット5000個をウクライナに供給すると表明し、ひんしゅくを買った。

ノルドストリーム2にいたっては、アメリカのバイデン大統領との首脳会談後の記者会見で、バイデン氏が「ロシアがウクライナ国境を越えたら、ノルドストリーム2は閉鎖する」と明言したのに対して、ショルツ氏は一言も言及しなかった。

アメリカの共和党議員は「ドイツは信頼できない同盟国」と非難し、保守だけでなくリベラルメディアも同調した。ドイツにとってはアメリカの信頼を失うのは致命的で、結果的にロシアのウクライナへの本格的侵攻を前にして、対ロシアの独自の融和外交の歴史的大転換を決断せざるをえない状況に追い込まれた。

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