対ロシア強硬に大転換「ドイツ」に日本が学べる事 控えていた武器供給を決断し、軍事費も倍増

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実はドイツは今回、連邦軍特別基金を通じて軍の大幅増強に1000億ユーロ(約13兆円)を確保することになった。ところが独公共放送ZDFによれば、あまりにも長い年月、国防は後回しにされてきたために、連邦軍の状況は極めて貧しく、改善は何年も先送りされてきたために、巨額の予算を費やしても増強には時間が掛かると指摘している。

ドイツのアルフォンス・マイス陸軍総監は先週、軍の完全な再構築が必要だとしたうえで「平時に41年仕えた後で、新たな戦争を経験しなくてはならないであろうとは考えもよらなかった」と述べている。

クリスティーネ・ランブレヒト国防相は「すべて国内で調達する必要はないのだから、多くは国外から最新兵器を調達できる」と語る始末だ。

エネルギーの安全保障は日本にも深刻な話

日本もドイツもロシアだけでなく、中国とも経済依存度を強めることに躊躇することはなかった。コロナ禍でサプライチェーンが寸断され、経済安全保障の観点から特定品目について国内調達強化が進められているが、エネルギーの安全保障はエネルギー資源のない日本には深刻な話だ。

ロシアのウクライナ侵攻について固唾を飲んで見守る中国が今後、どのような行動に出るかは不明だが、アメリカ国防省は、台湾侵攻は数年以内という認識を示している。ウクライナ危機でアメリカはドイツの軍備強化を歓迎し、むしろ、欧州東部防衛の先頭に立ってほしいと願っている。

日本、ドイツともに枢軸国だったとして贖罪意識を持って歩んできた経緯はあるものの、今回、ドイツは皮肉にもプーチンの暴挙によって歴史的転換の機会を与えられた。世界地図が完全に書き換えられている状況の中、日本も戦後を卒業するしかない状況といえそうだ。

安部 雅延 国際ジャーナリスト(フランス在住)

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あべ まさのぶ / Masanobu Abe

パリを拠点にする国際ジャーナリスト。取材国は30か国を超える。日本で編集者、記者を経て渡仏。創立時の仏レンヌ大学大学院日仏経営センター顧問・講師。レンヌ国際ビジネススクールの講師を長年務め、異文化理解を講じる。日産、NECなど日系200社以上でグローバル人材育成を担当。

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